キンカン  【金柑】

果実

キンカン   【金柑】


【効き目】
せき、食欲不振、吐き気、二日酔い、お腹の張り、イライラなど

気を巡らし、せきを止め痰を切り食欲不振や、お腹のはり、吐き気を改善します。また、うっ屈した気分を解消し、二日酔いの症状やイライラにも良いでしょう。民間薬として、せきや痰、扁桃炎などの治療に使われてきました。皮ごと食べられるので、β-カロテン、ビタミンE、ビタミンCをしっかり取れます。皮に含まれるヘスペリジンには、がん抑制効果があるとされます。キンカンは、ミカン科キンカン属に属する常緑低木植物です。7月~9月頃に数回に渡り白い花を咲かせます。キンカンの果実はミカン科の中で最も小さく、大きくても1個20g程度です。やや縦長でみかんを小さくしたような黄色の球形をしています。柑橘類の中では珍しく、皮が柔らかいため皮ごと食べることができ、甘みと少しの苦みを持つことが特徴です。熟した果実が金色の柑橘であることから「キンカン(金柑)」と呼ばれるようになりました。

キンカンの種類
キンカンには、ナガミキンカン、ニンポウキンカン、マルミキンカン、フクシュウキンカン、ホンコンキンカン、ナガハキンカンなどの種類があります。日本でよく見かけるキンカンはナガミキンカンとニンポウキンカンですが、一般的にキンカンと呼ばれているものはナガミキンカンです。最近では、「ぷちまる」と呼ばれる種がないキンカンや「スウィートシュガー」と呼ばれる非常に甘いキンカンが登場し注目を集めています。

キンカンの原産地・歴史
キンカンの原産地は中国の長江中流域です。日本には鎌倉時代末から室町時代初期に伝えられたといわれています。中国逝江省で古くから栽培されていたニンポウキンカンは、少し遅れて江戸時代(1826年)に伝わってきました。逝江省寧波(にんぽう)の船が難破し修理のために静岡県の清水港に寄港した際、お礼としてキンカンの砂糖漬けをもらい、その種子をまいて栽培したとされています。

キンカンの生産地・収穫時期
日本では、宮崎県が最も多くキンカンを生産しており、宮崎県のみで総生産量の65%以上を占めています。他には気候が温暖な鹿児島県や熊本県、高知県、和歌山県でも生産されています。(※平成21年 特産果樹生産動態等調査)温室栽培のキンカンは11月末より収穫が始まり、露地栽培のキンカンは1月~3月にかけて収穫されます。最も美味しくたくさんキンカンが出回る時期は1月中旬~3月上旬です。

キンカンの用途
キンカンは食用や薬用、観賞用として様々な用途で用いられます。

・食用
キンカンは生で食べられる他、果皮がついたまま砂糖漬けやはちみつ漬け、ジャム、甘露煮、ドライフル-ツとしても食べられています。味や彩りのアクセントとしてスライスされたキンカンがサラダなどに使われることもあります。また、のど飴として商品化され普及しています。

・薬用
キンカンは金橘(キンキツ)という生薬名を持ち、古くから民間薬として咳やのどの痛みを伴う風邪などに効果的であるとされています。

・観賞用
キンカンは生垣や鉢植え、庭木、盆栽など、観賞用として植えられることが多くあります。中国の広東省(かんとんしょう)や香港では、旧正月を迎える時に柑橘類の鉢植えを好んで飾る習慣があり、キンカンも好んで飾られます。

キンカンを選ぶポイント・保存方法
美味しいキンカンを選ぶポイントは4つあります。
・果実の表面にハリとツヤがあり、少し赤みがかった濃い黄色であること
・果実が大きく、重みがあること
・ヘタの部分が新鮮であること
・果皮に白い粉(ブル-ム)がついていること

冷蔵庫で保存する際は、ビニ-ル袋やポリ袋に入れて乾燥を防ぎます。

キンカンに含まれる成分
キンカンには、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノ-ルの一種でキンカンの苦味成分でもあるヘスペリジン、β-クリプトキサンチンなどが豊富に含まれており、これらの成分は全て強い抗酸化作用を持っています。抗酸化作用とは、紫外線や喫煙、ストレスなど生活の様々な場面で発生する活性酸素を除去し、体が酸化することを防ぐ働きのことです。例えば、クギを放置し空気中にさらしておくとクギがサビついてしまいます。この現象が酸化であり、人間の体内で酸化が起こると、病気や老化、肌トラブルの原因となってしまいます。キンカンに含まれる多くの成分が体内で強い抗酸化作用を発揮して酸化から体を守ることで、病気や老化、肌トラブルが予防されます。また、ヘスペリジンには、ビタミンCの吸収率を高める働きもあります。キンカンには他にも、食物繊維であるペクチンや香り成分であるテルペン、クエン酸などの優れた栄養成分が豊富に含まれています。

キンカンの効果

高血圧や動脈硬化を予防・改善する効果
血液中の悪玉(LDL)コレステロ-ルが増加すると、血管の内壁が脂質で分厚くなり、こぶのようにせり出して血管を狭めるため、高血圧や動脈硬化などが引き起こされます。キンカンに豊富に含まれるビタミンCやβ-クリプトキサンチンには、血中の悪玉(LDL)コレステロ-ルを減少させ血液をきれいにする働きがあります。さらに、ヘスペリジンには血圧を下げる働きがあるため、高血圧や動脈硬化の予防や改善をする効果があります。

糖尿病を予防する効果
キンカンに豊富に含まれるペクチンには、急激な血糖値の上昇を抑える働きがあり、血糖値が高くなることで起こる糖尿病の予防や進行の抑制に効果的です。さらに、β-クリプトキサンチンには高血糖が原因となって起こる肝機能障害を予防する効果もあります。

便秘を解消する効果
キンカンに豊富に含まれるペクチンは強い粘性を持っており、腸内の有害物質を吸着させ一緒に体外に排泄する働きを持っています。また、腸内の善玉菌を増やし、腸の調子を整える働きも持つため、便秘の解消に効果を発揮します。

冷え性や肩こり、腰痛を改善する効果
キンカンには血管を広げ血行を良くする働きを持つビタミンEと、毛細血管を強化して血流を良くする働きを持つヘスペリジンが豊富に含まれています。この2つの成分の働きにより、体のすみずみまで血液が行き渡り血行不良が原因で起こる冷え性や肩こり、腰痛の改善効果に期待ができます。

感染症を予防・改善する効果
キンカンにはビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCは、血液中の白血球、特に好中球を活発にさせ、体外から侵入してきた細菌やウイルスなどを撃退します。ビタミンCは白血球の働きを高め、ビタミンC自体も細菌やウイルスと闘う力を持ち感染症を予防します。さらに、ヘスペリジンは体内でのビタミンCの吸収率を高める効果があるため、摂取したビタミンCが効率良く働くためのサポ-トをします。キンカンを積極的に摂取することは免疫力を高め、風邪などの感染症を予防したり、病気の回復を早める効果があります。

ストレスをやわらげる効果
キンカンに豊富に含まれるビタミンCには、ド-パミンやGABA(ギャバ)などの神経伝達物質と、ストレスをやわらげる副腎皮質ホルモンの合成をサポ-トする働きがあります。キンカンの香り成分であるテルペンにも、興奮した神経を鎮静し、蓄積したストレスを解きほぐす働きがあります。ビタミンCやテルペンが含まれるキンカンには、ストレスに対する抵抗力を高めたり、イライラを鎮める効果があると期待されています。

美肌・美白効果
キンカンに豊富に含まれるビタミンCやビタミンEには、シミやそばかすを予防し、ハリのある若々しい肌を保つ効果があります。シミ・そばかすの原因となるメラニン色素は、アミノ酸の一種であるチロシンから生成されます。ビタミンCにはチロシンからメラニンをつくり出す、チロシナーゼという酵素の働きを抑制し、メラニン色素の沈着を防ぐ効果が期待できます。さらに、ビタミンEには血管を広げて血行を良くする働きがあるため、新陳代謝が活発になり肌にハリを与える効果があります。

丈夫な体をつくる効果
キンカンに豊富に含まれるビタミンCは、丈夫な血管や筋肉、骨、肌などをつくるコラ-ゲンの合成に必要不可欠な成分です。コラ-ゲンはたんぱく質の一種で体内のたんぱく質の約30%を占めており、体の組織や細胞をしっかり結びつける接着剤のような働きをします。また、ヘスペリジンにはビタミンCの吸収率を高める働きがあります。ビタミンCやヘスペリジンの働きによってコラ-ゲンの合成が正常に行われることで壊血病の予防や骨を丈夫にする効果があります。

疲労回復効果
キンカンには、クエン酸が豊富に含まれます。
激しい運動やストレス、不規則な生活によって細胞が酸欠状態になると、疲労物質である乳酸が溜まり、人間は疲れを感じます。クエン酸は、乳酸を分解しエネルギ-に変える働きがあるため、疲労の蓄積を抑制し、疲労の回復を早める効果があります。

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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p163
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/kinkan/

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