イチョウ      (イチョウ科)

ハーブ

イチョウ      (イチョウ科)

【効き目】
血管拡張、抗酸化、PAF(血小板活性化因子)阻害、認知症、耳鳴り、めまいなどの脳血管神経障害、冷え性、間欠性跛行など

「生きた化石」の異名を持ち、2億年前から存在するため、長寿の象徴とされています。イチョウの葉から抽出したエキスやサプリメントが用いられます。植物療法では、血管を拡張し、脳の血流量を増やすことで認知症や耳鳴り、めまいなどの対策に用いられます。ただし、注意する点も多いので服用する際には専門家への確認が必要です。イチョウ葉エキスとは、イチョウの青葉を乾燥させてアルコールで抽出された成分を指します。ポリフェノールの一種であるフラボノイドと、強力な抗酸化作用を持つギンコライドを含んだ健康成分です。イチョウは、今から約2億5千万年前から存在していたといわれる植物です。恐竜の生息していたジュラ紀という時代に最も栄えていたといわれ、千年以上の樹齢をもつ生命力の強い長寿木です。イチョウは日本でも、昔から神社や寺院、街路樹などでよく見かける植物ですが、原産地は中国であるといわれています。イチョウは平安時代に中国の高僧によって、仏教の伝来とともに中国から日本に移送されてたと考えられています。「生きた化石」とも呼ばれている自生のイチョウが唯一残っていたのは、中国の浙江省(せっこうしょう)であったといわれており、現在の地球上に存在しているイチョウの多くは、移植されたものです。よって、イチョウの自生地は中国の浙江省だけであり、その他の場所でよく見かけるイチョウは、すべて人為的に移植されたものであるといえます。また、イチョウは植物として非常に特殊であり、現在、地球上にイチョウと似た植物は存在していません。イチョウはその特徴的な性質と、奇跡的に生き残った太古の植物として昔から注目を集めていました。

イチョウ葉エキスの歴史
イチョウ葉エキスに含まれる成分の効果を最初に見出したのはドイツで、1960年代には血流改善作用についての研究結果が発表されました。その後、1965年にドイツでイチョウ葉エキスが医薬品として登録されたことから、ヨーロッパにおけるイチョウ葉エキスに対する研究が加速していきました。なお、イチョウ葉エキスは植物由来のエキスであるにも関わらず、その研究結果が発表されてから医薬品として認められるまで、異例の速さであったといわれています。それほどイチョウ葉エキスが持つ働きや作用は、人体に対しての効果が明白であり、高い信憑性があったということです。

イチョウ葉エキスに含まれる健康成分と性質
イチョウ葉エキスに期待できる主な健康成分としては、「フラボノイド」と「ギンコライド」の2種類があげられます。

フラボノイド
フラボノイドとは、黄色の色素でポリフェノールの一種です。
ポリフェノールとは、植物が自らの身を守るために生成する物質で、色素や苦みのもとである健康成分の総称です。
フラボノイドは植物の発芽や成長に関与しており、世界中で4000種類以上が知られています。ビタミンPとも呼ばれるフラボノイドは、毛細血管を強化するという特徴的な働きを持ち、血行促進の効果があるとして、イチョウ葉エキスが注目されるきっかけともなった栄養素です。イチョウ葉エキスには、30種類ものフラボノイドが含まれており、その中でも血液循環の効果が特に高いといわれている「二重フラボン」が特有成分として6種類も存在しています。「二重フラボン」とは、2つのフラボノイドが重なった成分で、その血液循環効果は他のフラボノイドと比べて約3倍も高いといわれています。フラボノイドは、血管の材料であるコラーゲンやエラスチンの酸化を抑制します。すなわち、フラボノイドの積極的な摂取は、しなやかな血管をつくることにつながるため、毛細血管などの末梢の血管を広げ、全身の血行促進につながります。

ギンコライド
ギンコライドとは、イチョウ葉エキスのみに含まれる、ファイトケミカルと呼ばれる健康成分の一種です。ギンコライドは強力な抗酸化作用を持っており、脳細胞を活性酸素から守る働きがあるといわれています。イチョウ葉エキス特有の成分であるギンコライドには、血小板が固まることを抑制し、血栓が血管壁にできることを防ぐ効果があります。また、アレルギーの原因にもなる血管に起こる炎症を抑える働きもあります。

各国でのイチョウ葉エキスの取り扱い
イチョウ葉エキスはその有効性から、数十カ国で医薬品として認可されています。
しかし、日本では2012年現在、イチョウ葉エキスは未だに医薬品扱いの成分としては認められていません。その理由は、健康成分を医薬品扱いにする基準の違いにあります。イチョウ葉エキスに含まれる成分は無数に存在するといわれており、フラボノイドやギンコライドはその一部に過ぎません。ヨーロッパなどにおいては、実際に効果があり、副作用がないことが認められた健康成分については医薬品として扱うことができます。日本では、認可対象の健康成分に含まれる全ての成分を解明した上で、特定の症状に対する働きを治験で証明できて、初めて医薬品扱いとなるのです。その有効性は広く知られているものの、全貌が未だに明かされていないイチョウ葉エキスが、日本で医薬品としての健康成分に認可されるには、長い期間を要します。このように、ヨーロッパ諸国よりも厳しい基準により、イチョウ葉エキスは日本において食品として扱われています。

イチョウ葉エキスの効果

血流を改善する効果
イチョウ葉エキスは脳や血管の症状に対する効果で広く知られていますが、そのもととなっているのが血流を改善する効果です。イチョウ葉エキスの血流の改善作用は、主に3つの作用の相乗効果によって行われています。①血管を拡張する作用
イチョウ葉エキスには、血管を収縮させるトロンボキサンA2という物質の働きを抑制する作用があります。トロンボキサンA2は血小板から生成された成分で、動脈や気管支を収縮させたり、血小板を凝集させる働きを持った物質です。イチョウ葉エキスの働きは、動脈や気管支の収縮を妨げ、血管を拡張させる働きがあります。

血小板の凝集を抑制する作用
イチョウ葉エキスには、血小板を凝集させる物質であるPAF(血小板活性化因子)の作用を妨げる働きがあります。PAFは活性酸素やウイルスなどの刺激で、炎症やアレルギー反応によって血小板を必要以上に活性化させ、凝集させる物質です。
また、PAFには血液中の水分を血管から外に染み出させる作用もあります。
血液中の水分が減少することで、血液が濃くなり、粘度が高まるためPAFの働きはいずれも血流の悪化へとつながります。イチョウ葉エキスは、このPAFの活性を抑制して血小板の凝集などを防ぐことができます。

活性酸素の生産を抑制する作用
血液がドロドロになる大きな要因の1つは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールが活性酸素によって酸化することです。酸化した悪玉(LDL)コレステロールは血液の粘度を高め、流れを悪くしてしまいます。さらに、血管の壁に酸化した悪玉(LDL)コレステロールがくっつき傷つくと、動脈硬化の原因となる可能性があります。抗酸化作用を持つイチョウ葉エキスは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑えて血液をサラサラにさせます。以上の3つの作用の相乗効果により、イチョウ葉エキスの摂取は血流改善の効果を発揮します。

冷え性を改善する効果
イチョウ葉エキスの働きは、日常生活で感じることの多い不快な症状の緩和にも直結します。古くから「冷えは万病のもの」といわれるように、冷えは体に悪い影響を与えることが知られています。例えば、めまいや耳鳴り、肩こりなどは血流が悪いことが原因となって起こる代表的な症状です。冷え症は女性に多い悩みですが、単なる体質による症状ではなく、血行不良が原因であるともいわれています。よって、血流改善の作用は、冷え症の改善にも効果があるといわれています。
また、冷え症を改善するには甘酒やしょうが、柚子などの食材も効果的です。

脳梗塞などを予防する効果
血流の良し悪しは、人間の健康状態につながっており、動脈硬化や高血圧などの病気を予防する効果も期待されています。また、脳は多くの酸素や栄養素を必要とするため、血流の状態によって脳の健康も左右されます。よって、脳内の血流が悪くなると、脳細胞に栄養などが行き届かなくなり、脳の細胞が死んでしまったり、脳内に血栓ができて脳梗塞を引き起こす危険性があるのです。したがって、イチョウ葉エキスには脳の血管障害によって発生する脳梗塞などの病気を予防する効果もあるといわれています。

認知症を予防する効果
イチョウ葉エキスは、脳の障害によって知的能力が著しく低下する「認知症」の予防や改善に効果があると考えられています。認知症の原因は、脳の病気や体の病気など数多く存在しますが、最も代表的なものとして、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」の2つが挙げられます。

アルツハイマー型認知症を予防する効果
イチョウ葉エキスは、アルツハイマー型認知症に対しての予防効果を持つと考えられています。アルツハイマー型認知症の代表的な症状は、記憶障害、判断力の低下、妄想や幻覚などが挙げられます。進行性の病気であるため、早期の発見や治療などが重要です。脳の神経細胞は加齢とともに減少していきますが、アルツハイマー型認知症の脳においては、早期に、かつ急激に失われていってしまいます。
アルツハイマー型認知症の原因は仮説が多く存在するものの、明確にはなっていません。しかし、アルツハイマー型認知症を患った人の脳には、茶色いシミ(老人斑)が多く見られるといわれています。このシミの正体はアミロイド-βというたんぱく質の一種です。アミロイド-βは異常なたんぱく質で、脳内で蓄積された場合、アルツハイマー病認知症の原因にもなりうる物質です。イチョウ葉エキスには、このアミロイド-βの蓄積を妨げる働きがあり、結果的にその量を減少させると考えられているのです。これは2001年にアメリカの研究グループから発表された研究結果に基づいた考察であり、今でもイチョウ葉エキスについてのアルツハイマー型認知症に対する効果の研究は各国で行われています。

脳血管性認知症を予防する効果
イチョウ葉エキスの血流改善の作用は、脳血管性認知症の予防効果にもつながるといわれています。脳血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血など、脳内の血管障害によって発症する病気です。小さな脳梗塞であっても、多発することによって、認知症や運動障害が現れる原因となります。イチョウ葉エキスによって血流を改善し脳梗塞を抑えることは、脳血管性認知症の予防にも深く関与しています。

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※参考文献一覧
すすきちえこ、はじめてのハーブ手帖、メディアパル、
2020、p105
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/ginkgo-biloba/

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