桃 (バラ科)
【効き目】
口の渇き、便秘、食欲不振、顔色が悪い、月経痛、シミなど
血を巡らせる代表的な果物。体にうるおいを与え、口の渇き、便通を改善します。夏の食材としてはめずらしく温性なので冷え症の人にもおすすめです。リンゴ酸、クエン酸、果糖が含まれ、食欲不振や夏バテ改善に役立ちます。豊富に含まれる水溶性食物繊維のペクチンが便通を良くします。生の桃は1個わずか40kcal。ダイエットに適した食材です。桃はバラ科サクラ属の落葉性の植物です。中国北部が原産で、古代中国では、桃には長寿の効果があると考え、仙薬にしていました。そのため「長生の実」「仙果」とも呼ばれ、邪気を払う果物として使われていました。日本では、山梨県や福島県、長野県での生産が多く、品種は約100種類にのぼります。
桃の歴史
桃は中国が原産地です。日本に伝わったのは弥生時代ごろといわれており、日本最古の歴史書である「古事記」や「日本書紀」にも記載されています。平安時代になると、水菓子と呼ばれ珍重されていました。現在栽培されている種類は明治の初期に中国から伝わったものだといわれています。それ以降、品種改良が盛んに行われ今では約100種類もの品種が生産されています。
桃の種類
現在、桃には約100種類もの品種があります。大きく分けると、果肉が白色の白肉桃と黄色の黄肉桃の2種類に分類することができます。どちらの種類にも抗酸化作用を持つ成分が含まれ、ビタミンEと協力して活性酸素をブロックする効果があります。白肉桃は、果汁が多く柔らかいため多くが生で食べられます。白肉桃には、フロボノイドが豊富に含まれています。代表的な品種は早生の日川白鳳、ちよひめ、中生の白鳳、あかつき、清水白桃、晩生の川中島白桃、白桃などがあります。
黄肉桃は、弾力性がありシロップ漬けの缶詰めやジャムなどの加工用によく使われます。β-カロテンが豊富に含まれています。
桃を選ぶ際のポイント
桃は縦横のバランスがよく、全体的に丸みのある形がよいといわれています。果皮が鮮やかな赤色やピンクのものが甘く、果皮の表面に産毛が残っているものがより新鮮でおいしくいただけます。甘味を保つために食べる2~3時間前までは室温で保存し、保存する際は日光や風から守るため紙などに包むとよいでしょう。そうすることで乾燥を防ぎ、新鮮な状態でいただけます。また、水で洗うと鮮度が落ちるため食べる直前に洗うべきです。
桃に含まれる成分と性質
桃は果実の部分だけでなく、蕾や種子、葉も漢方薬として利用され、以下のような働きがあります。
・果実
桃の果実は主に糖質で占められています。また食物繊維のペクチンが多いため、腸をきれいにしてくれる働きがあります。また、カリウムやクエン酸、カテキン、タンニン、イノシトールなどの成分を含まれています。
・蕾(つぼみ)
桃の蕾は桃花とも呼ばれ、利尿作用や便秘の解消の働きがあります。これは、蕾に含まれるケンフェロールという配糖体が細胞の中のミトコンドリアを活性する作用があるためです。さらに、蕾にはクマリンやナリンゲニンも含まれています。
・種子
種子は桃仁とも呼ばれ、血流のめぐりを助け、鎮痛作用や消炎作用、解毒作用などがあります。種子の中にある仁から抽出した油は桃カーネルオイルと呼ばれ、美容用として使用されます。桃カーネルオイルの主成分はオレイン酸で、皮膚への刺激がほとんどありません。そのため、使用する人の肌質を選ばず、敏感肌の方でも使用することができます。また、べたつかないためフェイスマッサージ用としてよく使用されます。
・葉
葉は桃葉とも呼ばれ、解熱、殺虫などの働きがあります。そのため、葉の煎じ汁はあせもや湿疹によいとされており、桃の葉風呂や炎症を取る際に、桃の葉を煎じた汁を患部に使うことがあります。
桃の効果
腸内環境を整える効果
桃には水溶性と不溶性の両方の食物繊維を豊富に含んでいます。水溶性食物繊維は腸内の便を柔らかくすることによって便通を促す働きがあります。不溶性食物繊維は水分を吸収して便の量を増やし、腸を刺激します。腸が刺激されるとぜん動運動が活発になり、便通を促進してくれます。これらの働きがあるため、便秘がちの方には効果的な食品です。また、腸の環境がよくなるとコレステロールや余分な老廃物も排出されるため動脈硬化や糖尿病の予防効果も期待できます。
疲労回復効果
桃に含まれるクエン酸には疲労回復効果があります。クエン酸は有機酸の一種で、疲労物質である乳酸の代謝分解を促し、乳酸が筋肉へ蓄積するのを防ぎます。
高血圧を予防する効果
桃には、カテキンやカリウムが豊富に含まれています。カテキンは脂質の酸化を防ぎ、血圧や血糖値[※11]が上がるのを抑制します。また、カリウムには血圧を下げる働きがあります。カリウムは、必要量摂ることによりナトリウムの排出を促し、高血圧になるリスクを軽減する働きがあります。これらのカテキンやカリウムの働きにより、高血圧を予防する効果があると考えられます。
コレステロール値を下げる効果
桃に含まれるイノシトールにはコレステロールを下げる効果があります。イノシトールは水溶性のビタミンで、脂肪の代謝を促し肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぐ働きがあります。そのため、肝機能を強くする効果も期待できます。
糖尿病を予防する効果
桃には糖尿病を予防する効果もあります。近年の研究により桃にはインスリンの働きを高める効果があることが分かっています。
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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p106
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/peach/