ブルーベリー (ツツジ科)
【効き目】
目の充血、眼精疲労、ドライアイ、夜盲症、便秘、下痢など
血の巡りを良くし、目の粘膜をうるおし、目の充血や眼精疲労、ドライアイに有効とされます。血液の循環を良くして、うっ血や内出血を取り除く働きもあります。また、便秘や下痢の改善にも役立ち、老化への効果も期待できます。アントシアニンが眼精疲労や夜盲症を改善、抗酸化作用や抗動脈硬化作用があり、高血圧、糖尿病、黄斑変性、認知症の予防にも効果的です。果実がきれいな青紫色をしていることが由来となり、「ブルーベリー」という名が付けられました。ブルーベリーは、ツツジ科に属する植物で、アメリカが原産国の低木性果樹です。100種類以上あるといわれており、食用として栽培されています。春に白・薄紅色の花を咲かせ、夏には青い実をつけます。秋には紅葉が楽しめるため、庭木としても人気があります。果実は小球形で重量は約1~3gで、果実の表面には白い果粉[※1]が付きますが、丸ごと食べることができ甘酸っぱい味が人気です。国によって育っているブルーベリーの種類や文化も違います。
ブルーベリーの歴史
アメリカでは古くから原住民によって、野生のブルーベリーが生果実や乾燥果実として食べられていました。19世紀半ばまで、野生のブルーベリーは土地の保有者に関係なく自由に採集されていましたが、1865年ごろに果実が軍隊に供給され始めたことをきっかけに商品として売買の対象になり、野生株の管理が始まったといわれています。その後、商品としての需要が高まり、ブルーベリーの管理も進んだことで世界へと広まっていきました。北ヨーロッパでは、野生種の摘み取りが自由にできる国が多く、旬の時期になると家族で森に出かけ摘み取りを楽しんでいます。
最近では、ドイツ・ポーランド・オランダなどの国々でも栽培されています。南ヨーロッパでは、ワイン産業が盛んなため、ワインの原料であるブドウが好むアルカリ性の土壌が多く、酸性の土壌を好むブルーベリーの生育は非常に難しいです。
しかし、最近ではスペインやイタリアで栽培面積が増え、フランスでも消費が増えつつあります。ブルーベリーが日本に導入されたのは、1951年(昭和26年)のことです。当時の農林省北海道農業試験場が、アメリカのマサチューセッツ州立農業試験場から「ハイブッシュブルーベリー」を導入し、1962年にはアメリカのジョージア州から「ラビットアイブルーベリー」が導入されました。「ハイブッシュブルーベリー」は、比較的実が大きく果皮が柔らかいため生食向きのブルーベリー、「ローブッシュブルーベリー」は、比較的実が小さく栄養価が凝縮された、低い位置で育つブルーベリーです。日本にブルーベリーを広めた人物は、当時の福島県園芸試験場場長の岩垣駛夫氏です。岩垣氏は、1964年に東京農工大学の果樹学教授として赴任し、以来、ブルーベリーの生産開発に取り組み、多くの研究者や栽培家の育成に力を注ぎました。その功績から、彼は“ブルーベリーの父”と呼ばれるようになりました。そして1980年後半以降、一般の種苗業者によってもブルーベリーの導入が進み、国内での栽培が盛んになっていきました。日本での栽培は、米と畑作物中心の食生活が影響してか、比較的ゆるやかな形で広がっていきました。「ハイブッシュブルーベリー」は導入から20年後の1971年に長野県で、「ラビットアイブルーベリー」は1968年、東京都の小平市で栽培がスタートしました。その後もゆるやかに栽培面積が増加し、全国の栽培面積が1㏊になったのは、導入から25年目の1976年のことです。1990年以降に急激な変化が起こり、当時の消費者の食に対する健康意識の高まりや、青紫色の色素アントシアニンの持つパワーが認知され始めたことで、1992年には約183㏊に栽培面積が増加したのです。2000年には約300㏊を超え、生産量は1t以上に達しました。2006年には面積が700㏊を超え、今では北海道から沖縄まで全国で栽培が行われています。
ブルーベリーの原産地、生産地
ブルーベリーの生産地は、原産地のアメリカが生産量も堂々の1位です。
2位のカナダを含めると北米大陸だけで世界の約85%以上を生産していることになります。また、日本のブルーベリー生産量の1位は長野県です。(平成18年)
はじめは涼しい気候の地域で主に栽培をしていたのですが、最近では暖かい気候の地域でも生産できるところが増えてきています。ブルーベリーは種類によって、日本では北海道~鹿児島まで、全国で生産が可能であるという特徴を持ちます。
例えば、本州中部の高地及び東北から北の地域が栽培適地なのはノーザンハイブッシュやハーフハイブッシュ、中部の一部の高地と東北の内陸部を除く本州全ての地域で栽培可能なのはサザンハイブッシュです。このように、南北に長く様々な気候帯を持つ日本でも全国で栽培が可能です。ブルーベリーの旬は種類によって異なりますが、6~8月が収穫時期です。
種類ごとの旬の違い
ハイブッシュ・ブルーベリー:6~7月
ローブッシュ・ブルーベリー:6~7月
ラビットアイ・ブルーベリー:7~8月
ブルーベリーの種類
・ローブッシュブルーベリー
野生種で、アメリカ北東部諸州からカナダ東部諸州・北欧にまで広く分布しています。樹高は低く(15~40㎝)、果実は最も小粒で、濃い青紫色をしているのが特徴です。果実は、収穫された後ほとんどがドライフルーツやジャムなどに加工されます。例:ブルンズウィック・シグネクト
・ハイブッシュブルーベリー
寒冷地向けのブルーベリーで、日本では北海道・東北地方・長野県などでの栽培に適しており、多種の品種が育成されています。樹高は1~2ⅿで、果実の粒がローブッシュブルーベリーに比べ大きいのが特徴です。低温要求量・樹高の違いから、ノーザン(北部)ハイブッシュブルーベリー・サザン(南部)ハイブッシュブルーベリー・ハーフハイハイブッシュブルーベリーの3つに分類されます。
・ノーザンハイブッシュブルーベリー
1990年代半ばまではハイブッシュブルーベリーと呼ばれていました。
品種改良の歴史が最も古く、品種数が最も多い種類で、寒い地域で育ちやすいブルーベリーです。例:スパルタン・デューク・ウェイマウス・レガシー
・サザンハイブッシュブルーベリー
低温要求量が少なく、ノーザンハイブッシュブルーベリーに比べ、暖かい地域でも生育が可能です。例:ミスティー・オニール
・ハーフハイハイブッシュブルーベリー
ノーザンハイブッシュブルーベリーとサザンハイブッシュブルーベリーの交雑から生まれた種類です。ハーフハイと呼ばれるように、ノーザンハイブッシュよりも樹高が低く、またローブッシュブルーベリーのように寒さが厳しい地域でも生育ができます。例:ノースランド・ノーススカイ
・ラビットアイブルーベリー
温暖地向けのブルーベリーで、日本では西日本・九州での栽培に適しており、最も強く、育てやすいものです。樹高は1.5~3ⅿくらいで、成熟前の果実がうさぎの目のようにピンク色になることが特徴です。
例:ティフブルー・ブルージェム・メンディトゥー・パウダーブルー
ブルーベリーの特徴
ブルーベリーは古くから食べられてきた果物です。当時は、果実の栄養素や働きが知られていたわけではなかったのですが、ブルーベリーの果実を食べることにより、病気を予防し、疲れを回復させる効果があるということは、原住民の間で知られていたようです。また、原住民は冬の間にブルーベリーの乾燥果実を食べて、ビタミンCの欠乏症である壊血病を防いだといわれています。このようにたくさんのエピソードを持つブルーベリーの小さな果実の中には、驚くほどたくさんの栄養素が詰まっています。有名なのが目に良いといわれているアントシアニンですが、他にも食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富といわれています。また、野生種のブルーベリーを改良しているので、害虫がほとんどつきません。無農薬で栽培ができるため、果皮ごと食べることができます。果物や野菜の皮と果実の間には特に栄養素が豊富に含まれるので、すべての栄養素が無駄なく摂取できます。
ブルーベリーの効果
視機能を改善する効果
ブルーベリーが目に良いということが研究されるようになったきっかけは、第二次世界大戦中に起こったある出来事です。ブルーベリージャムが大好きで、毎日多量に食べていたイギリス空軍のパイロットが、夜間飛行や明け方の攻撃の際、薄明かりの中でも、物がはっきりと見えたと証言したことが有名になり、イタリアやフランスでブルーベリーの機能性の研究が始まりました。その後、研究を進めるうちに、ブルーベリーに含まれる色素である「アントシアニン」が、視機能を改善するということがわかりました。目が見える仕組みは、まず目に入ってきた映像を目の網膜(カメラにおけるフイルムのようなところ)に映し出します。網膜には「ロドプシン」というたんぱく質が存在し、ロドプシンが分解されることにより発生する電気信号が脳に伝わり、「目が見える」と感じます。分解されたロドプシンは再合成され、再び分解されてという流れを繰り返すのですが、疲れや加齢により、ロドプシンの再合成能力は低下していくのです。アントシアニンは、このロドプシンの再合成を助けるため、年齢や目の疲れからくるしょぼつき・かすみ・ぼやけを予防・改善できると言われています。ブルーベリーには15種類ものアントシアニンが含まれているという点も特徴的です。他にも、ブルーベリーにはビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAはカボチャや小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれる栄養素で、皮膚や目、鼻や喉などの粘膜を保護する働きや、目の網膜を丈夫にして目が薄暗い場所に慣れるのを助けたり、夜盲症を予防する働きがあります。
活性酸素を除去する効果
体内につくられた活性酸素を除去する働きは、抗酸化作用と呼ばれます。近年、大きな社会問題となっているガンや脳卒中などの生活習慣病の発病には、高い確率で活性酸素が関与しています。活性酸素とは、紫外線・喫煙・ストレスなどで体内に発生し、細胞や血管など人体の様々なところにダメージを与えます。また、活性酸素は生活習慣病だけでなく、人体の老化やさまざまな病気を引き起こす原因だといわれています。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化作用があるということが発見されたのです。さらに、様々な野菜や果物の抗酸化力を測定した結果、ブルーベリーが持つ抗酸化力は、比較的高いことがわかったのです。ブルーベリーにはアントシアニンの中でも、特に活性酸素を除去する抗酸化作用の強いデルフィニジンやシアニジンが多く含まれているという特徴があります。ブルーベリーには、特に抗酸化力が強いと言われるビタミンEが豊富に含まれており、アンチエイジング効果が期待できます。
腸内環境を整える効果
ブルーベリーは種子も果皮も一緒に食べられる果実です。種子は小さく、1粒中にたくさん含まれています。ブルーベリーの果実を食べることにより、果実に含まれる食物繊維を無駄なく摂ることができます。また、ブルーベリーの果実には、2種類の食物繊維(水溶性食物繊維・不溶性食物繊維)が含まれます。含まれている量としては、生果実100g当たり3.3gもあり、これはバナナの約2~2.5倍に相当します。この2種類の食物繊維を摂ることにより、小腸での糖の吸収を抑え、コレステロールを低下させることができます。また、腸内で発生する有害物質の生成を抑えるため、腸内環境を整える効果があります。さらに、整腸作用・便秘解消にも効果的なので、大腸がんの予防にも役立ちます。ブルーベリーの果実には食物繊維だけでなく、ポリフェノールの1種「タンニン」と、水溶性食物繊維の「ペクチン」が含まれており、この2つの栄養素には、下痢を改善する効果があります。タンニンには「収れん作用」があり、荒れてしまった腸の粘膜を保護してくれます。また、ペクチンには便の中の水分を吸い取って便の硬さを調整してくれる機能があります。おなかがゆるい際には、ブルーベリーのジャムを食べるのも良いでしょう。
体調を整える効果
野菜や果物にはビタミン・ミネラルが含まれているものが多いですが、ブルーベリーの果実において特徴的なのは、ミネラルの1種である亜鉛・マンガンです。この2つは他のベリー類に比べ、特に多く含まれています。亜鉛は、体内のミネラルで鉄の次に多いと言われており、生きるために不可欠な酵素の材料になったり、細胞の生まれ変わりを促進したりと様々な働きをしています。マンガンは、他のミネラルと協力して骨を丈夫にする働きや活性酸素を除去するために働きます。2つとも、生きていくためには必要不可欠なミネラルです。また、量は多くありませんが、ブルーベリーには熱に弱いビタミンCも含まれています。ブルーベリーは生で食べることができるので、効率良く栄養素が摂取できます。
膀胱の感染症を予防する効果
尿路殺菌作用をもつアルブチンを含み、バクテリアの膀胱内への付着を防ぎ、感染症を予防するといわれています。
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※商品サイト
※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p104
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/blueberry/