ホーソン           (バラ科)

ハーブ

ホーソン           (バラ科)  和名     セイヨウサンザシ


【効き目】
陽性変力作用、環状血管や心筋の血行促進、心臓機能の低下、動悸、息切れ、心臓部の圧迫感や重圧感など

真っ赤な実が特徴のホーソンは、欧米などの北半球に自生しています。花や葉、実は心臓のポンプの働きを強化して血液量を増加させ、抗酸化成分で血管そのものの働きを維持してくれます。アルコールに漬けたホーソンのチンキ剤は、薬用酒としても美味しくいただけます。効果がゆっくりと現れるので、長期的に使うことをおすすめします。ヨーロッパでは古代ギリシア時代から心臓に良いハーブとして利用されてきたと伝えられるホーソン。ホーソンはサンザシ類を指す言葉で品種が数多くありますが、ハーブとしては“西洋サンザシ”と呼ばれるいくつかの品種が使われています。現代でもフラボノイド類やプロシアニジンオリゴマーなど抗酸化物質を数多く含むことが認められており、血流や心機能をサポートしてくれる可能性から「最も副作用の少ない心臓・血管に対する天然薬」とも称されています。抗酸化作用の高さから心臓保護以外にも様々な健康メリットが期待されていますよ。

ホーソンベリーとは
ホーソンは欧米では「心臓のためのハーブ」とも称されるハーブ。ホーソン(Hawthorn)という呼び名は馴染みのない植物のようにも感じますが、日本語に和訳するとサンザシのことです。広義であればホーソンもサンザシもバラ科サンザシ属(Crataegus属)の植物・その果実全般を指す言葉。しかしサンザシ属は中国・ヨーロッパ・北アフリカに原生しており、世界的に見ると1000以上もの品種が存在しています。このため日本でサンザシと言うとCrataegus cuneataもしくは漢方の生薬「山査子」として用いられる大実山査子(学名:Crataegus pinnatifida)を指すのが一般的なのに対して、ホーソンはヨーロッパで古くから使われてきたヒトシベサンザシ(学名:Crataegus monogyna)やアカバナサンザシ(学名:Crataegus laevigata)などを指すのが一般的です。ちなみにホーソンは西洋サンザシ・学名Crataegus oxyacanthaであると表記されることもありますが、実際にある種との特定ができずヒトシベサンザシ・アカバナサンザシなど複数の種を指していると考えられているため、現在は学名として使用しないことが多くなっています。どちらにせよ日本で一般的なサンザシと、欧米でハーブとして使用されているホーソンは別の植物。近縁種で成分も似ていることから胃腸・心臓両方に有効としている文献もありますが、伝統的用途も合わせてホーソンは心臓・血液循環に、オオミサンザシは主に消化器系への働きかけと、得意分野を分けて考える方もいらっしゃいます。ホーソンはヨーロッパで古くから特別な力を持つ樹木として大切にされてきました。古代ギリシアでは子孫繁栄の象徴と考えられていましたし、キリスト教でも重要視されてきた植物。イエス・キリストが処刑時にかぶせられた“イバラの冠”には西洋サンザシが使われていたという逸話もあり、飛び散ったキリストの血によって清められた=神聖な植物として扱われていたのだとか。中世には魔除け・厄除けの力があると信じられていましたし、棘があることと合わせて貞操のシンボルとされた時期もあるそう。そのほかメイフラワー(Mayflower)やメイツリー(Maytree)とも呼ばれるように、古代ローマの祭に由来する“五月祭”の頃に丁度花を咲かせることから希望の象徴ともされ、婚礼などおめでたい場面にもよく登場していたようですよ。またホーソンは古代ギリシアの医師ペダニウス・ディオスコリデスが心臓を助けるハーブとして使用したという説もあります。古代・中世・近世と長い間「心臓を守るハーブ」として伝統医学や民間療法で用いられてきた植物でもあり、19世紀後半から20世紀初頭にかけではヨーロッパのホメオパシーとアロパシーの両方の医師が心臓病や心血管疾患に用いていました。科学の進歩によって20世紀中盤には使われなくなっていましたが、1984年にドイツの研究によって心臓血管系疾患への有効性が報告されたことで再び注目されるようになりました。現在は健康をサポートしてくれるサプリメントとして欧米を中心に親しまれている他、登山のお供としてハーブティーを持っていく方もいらっしゃるようです。

ホーソンベリーの効果


血流・心臓のサポート

抗酸化・血管保護に
ホーソンベリーは古代ギリシア時代から心臓のためのハーブとして使用され、それ以降も伝統医療や民間療法として循環器系疾患に用いられてきた歴史を持ちます。現在でもホーソンにはルチン・クエルシトリン・ビテキシン・OPC(オリゴマープロアントシアニジン)など20種類以上の抗酸化物質を含むことが認められており、抗酸化作用によって血管を健康に保つ・いくつかのフラボノイドによって毛細血管の保護・修復を手助けする働きが期待されています。フラボノイドやOPC(オリゴマープロアントシアニジン)などの抗酸化物質は活性酸素を抑制・除去することで、アテローム性動脈硬化の予防をはじめ、脳および神経組織の酸化防止・免疫力低下予防など様々な効果が期待されています。活性酸素による悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑制することにも繋がりますから、血液循環をスムーズに保つ手助けをしてくれると考えられています。

血圧の安定サポートに
ホーソンに含まれている抗酸化物質は血管をしなやかに保ち、血中脂質の酸化を抑制することでスムーズな血液循環サポートしてくれます。また血管拡張を促す成分も含まれていることから、抗酸化と合わせて血圧降下作用を発揮し、高血圧の予防や軽減にも役立つと考えられています。2002年に行われた高血圧患者38名を対象に10週間ホーソーン抽出物500mg+ミネラルマグネシウム600mgを投与した実験では、プラセボ投与群に対して有意な血圧の低下が見られたことも報告されています。ハーブティーとして摂取する量は実験に使われた抽出物とは異なるものの、プロアントシアニジンやフラボノイドなどの補給に繋がることから、血圧を正常に保つ手助けをしてくれると考えられています。血液循環を促してくれるため、高血圧対策としてだけではなく、低血圧の予防や軽減に繋がるという説もあります。

心血管の健康維持に
ホーソンには19種に及ぶと言われるフラボノイド類、ビタミンC、カロテノイドなど抗酸化作用のある成分が豊富に含まれています。こうした成分は血液や血管を正常に保ってくれるだけではなく、心臓の冠動脈や脳の血管を広げて血液循環を促すことにも繋がります。心臓に血液と酸素が供給されることで、息切れや動悸・疲労感などの軽減、不整脈や血管鬱血性心不全予防にも効果が期待されています。実際にホーソン抽出物を投与した実験では有効性を示唆する報告があり、作用が穏やかで副作用が少ないことから「最も安全な心臓や血管に対する天然の薬」として注目されていますよ。欧州医薬品庁(EMA)やコミッションEでもホーソンは評価されており、健康食品としての利用であれば動悸など一時的な心臓症状の軽減に強心剤として使用されることが多いようです実験が行われ医薬品としての応用が研究されているのはホーソンの花・葉が中心ですが、健康食品として使用する場合はホーソンベリーでも心臓の健康維持をサポートしてくれると考えられています。

血行不良による不調にも
ホーソンは抗酸化作用や血管拡張作用によって全身に酸素や栄養素をスムーズに運搬する手助けが期待されているハーブ。この働きは心臓機能をサポートするだけではなく、血行不良に起因する肩こりや腰痛・頭痛・貧血などの症状軽減にも繋がるでしょう。登山のお供に利用されるのも酸素供給を助けることで、高山病(高度障害)の予防効果が期待できるためですね。そのほか血液鬱滞(静脈瘤など)や血行不良による冷え性の軽減、脳への血液供給を高めることから記憶力・集中力向上効果なども期待されています。

そのほか期待される作用

ストレス緩和・精神安定に
ホーソンは“アダプトゲン”と呼ばれる、精神・肉体に対するストレス抵抗力を高めるハーブの一つにも数えられています。軽度の鎮静作用によって心を落ち着けリラックスするのを手助けしてくれると考えられており、不安や緊張・イライラを和らげる働きも期待されています。古くは不眠症の緩和にも活用されてきたハーブてもあります。動悸や高血圧軽減に役立つのも、血液循環や心機能をサポートするだけではなく、メンタル面での鎮静効果と複合しての働きではないかという見解もあります。近年行われている動物実験でもホーソンエキスを投与したグループにはCNS抑制作用が見られたことが報告されています。このことから中枢神経に働きかけ鎮静・ストレス緩和・睡眠障害軽減などに役立つのではないかと、伝統医療におけるホーソンの「効能」に信憑性がある可能性も示唆されています。ストレス対策やリラックス用のハーブティーとして取り入れる場合には、ラベンダーまたはレモンバームと組み合わせることが多いようです。

むくみ・女性の不調に
毛細血管の保護修復・血液循環を助け働きからホーソンは血行不良に起因するむくみの軽減にも効果が期待されています。加えて利尿作用を持つという見解も有り、水分バランスの乱れによるむくみ・冷え・慢性疲労・だるさ・めまいなど様々な不調の緩和に繋がる可能性もあるでしょう。また鎮静作用によって神経の興奮を鎮めて心身をリラックスさせることは、自律神経のバランスを整える事にも繋がります。自律神経と女性ホルモンの分泌システムは互いに影響を与えあっていますし、ホーソンの抗酸化作用や血行促進(冷え改善)と合わせて、月経不順など女性特有の不調の軽減にも期待されています。更年期障害によるイライラやホットフラッシュ、血行不良が悪化要因に数えられるPMSの肉体症状(腰痛・乳房の痛みなど)や生理痛の軽減に繋がる可能性もあるでしょう。中枢神経の興奮を鎮めることから若干の鎮痛作用を有するという説もありますよ。

消化機能のサポートに
ホーソンは伝統的に消化をサポートするハーブとしても使用されてきた植物。中国や日本でも近縁種のサンザシ・大実山査子が消化促進剤のような感覚で用いられています。ホーソンが胃腸機能をサポートしてくれるのは、胆汁や胃液の分泌を促進すると考えられているクエン酸、収斂・殺菌作用を持つタンニンなどが複合して働くためと考えられています。

美肌・アンチエイジングに
ホーソンには様々な抗酸化物質が含まれています。こうした抗酸化物質は血管や血流をサポートするだけではなく、皮膚の酸化を防ぐことで美容面でのアンチエイジング(老化予防)にも繋がるでしょう。果実にはビタミンCなどのビタミン類も含まれていますし、血行が整うことで皮膚の新陳代謝を高める働きも期待できます。美肌作りのサポーターとしても役立ってくれるかもしれません。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに
ホーソンには抗酸化作用が期待できるフラボノイド類やOPC(オリゴマープロアントシアニジン)・ビタミン類などが含まれています。加えて抗菌・収斂作用を持つタンニンやミネラル類も含まれていますから、外側からスキンケア用として利用しても肌を健やかに保つ働きが期待されています。脂性肌のケアや過酸化脂質が主要因とされる大人ニキビ対策にも役立ってくれそうですね。ホーソン抽出エキスは保湿・くすみ対策・美白・エイジングケアなどの化粧品類に美容成分の一つとして配合されていることもありますよ。

ホーソンベリーの注意事項
持病・服用中の薬がある場合には医師に確認の上で使用して下さい。
妊娠中や授乳中・子どもが使用した際の安全性については十分なデータがありません。念のために使用を控えるようにすると良いでしょう。

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ホーソンリーフ&フラワー 100g

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※参考文献一覧
すすきちえこ、はじめてのハーブ手帖、メディアパル、
2020、p116
ボタニカル♩ラブ
https://botanicalove.com/hawthorn01/

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