菊花 (キク科)
【効き目】
目のカスミ、目の充血、イライラ、高血圧、肩こり、肌荒れ、のぼせ、めまい、頭痛など
食用としても利用される菊は、山形県の「もって菊」が有名です。肝の高ぶりを鎮める作用があり、頭痛やイライラ、のぼせや目眩、高血圧の改善に有効です。肝は目と関係関係するので、眼精疲労や目の渇き、充血、かすみ目の解消に役立ちます。ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEが豊富。有効成分の中でも特にビタミンB1が視神経に栄養を与え働きを整えます。菊花とは、古くから漢方の一種として利用されてきた、食用菊の頭上花を乾燥させたもののことをいいます。中国では2000年以上前から栽培されている代表的な生薬です。日本では食用として利用されていますが、多くは菊花茶として飲まれています。菊花茶とはその名の通り、食用菊の花を乾燥させてお茶にしたもので、健康維持に効果があり、中国では延命長寿のお茶といわれています。とても種類の多い菊花茶ですが、健康茶として使用されるのは、黄色のカンギクとよばれる種類の花弁が利用されます菊花は古来より漢方として使われていて、眼精疲労(疲れ目)によいとされて愛用されています。
また、花茶独特の、お湯を入れた時に花開く美しい見た目と、菊花の香りによりリラックス効果がみられます。カフェインを含まないので子どもや妊婦の方でも安心して飲めるところも利点です。
菊花の歴史
一般的に栽培の菊は、中国北部原産のチョウセンノギクと中国中部原産のシマカンギクの交配種を改良したものであると考えられています。日本には奈良時代末期に中国大陸から伝来したといわれており、平安時代から天皇や貴族などの宮廷を中心に薬用として用いられるようになり、平安時代後期からは宮廷以外の一般の人々に観賞用として広く栽培されるようになりました。
日本における菊花
菊は日本人の生活にとてもなじみが深い花のひとつです。鎌倉時代からは天皇家の紋として菊花紋が利用され、日本のパスポートの表紙にも菊花紋が使われています。50円玉や勲章に菊の花が描かれてたり、このように日本人は、古くから菊と縁が深く観賞用として非常に多くの種類の菊が栽培されています。日本では菊花はあまりお茶として飲用されることはなく主に食用として利用され、刺身のつまなど料理に彩を添える目的として使用されることが多くあります。また、古くから頭痛を抑えるために、枕の中に菊花をつめる風習もあります。日本では野菊花が菊花とよばれています。野菊花とは、シマカンギクの花のことです。生産地としては愛知県豊橋市が有名です。
菊花茶の利用法
菊花の採取時期として9月~11月の秋に頭花を摘み取り、花弁を日干しし、乾燥した菊花にお湯を注いでお茶として利用します。ほんのりとした香り・薄いレモン色のお茶を楽しむことができます。菊花茶には、花茶の特徴である香りや苦みがあるため、中国では烏龍茶、プーアル茶などの他のお茶と混ぜて飲むことが一般的です。菊花茶で代表的な種類は、甘菊茶、抗菊茶、除菊茶などですが、菊花の種類は大変多く、開花時期や花の大きさなどで分類されています。菊花茶は利尿作用、抗菌作用、解熱効果、高血圧予防、夏バテ解消、のぼせ、慢性肝炎、眼精疲労、解毒、消炎などを目的に、健康茶として利用されます。
菊花に含まれる成分と性質
栄養面では、ビタミンやミネラルが比較的に多く、特にβ-カロテンやビタミンC、葉酸をはじめとしたビタミンB群などの抗酸化力をもつ栄養素を豊富に含んでいます。また、フラボノイド類やポリフェノールも様々な種類を含んでいるので、健康をサポートする力が強いといわれています。
菊花の効果
眼精疲労改善する効果
漢方の本場中国では、「目の疲れ解消といえば菊花茶」というのが定番といわれています。菊花茶には、ビタミンB1、ビタミンEをはじめとした豊富な栄養素に加えて、目の疲れを癒す消炎などの効能があるクサンテノンとビタミンAを豊富に含んでいます。目のかすみ、疲れ目、目の充血、目のかゆみなどに効果を発揮します。パソコン作業で目を酷使している方は、菊の花を積極的にとるようにすると良いと考えられます。また、菊花茶、菊花酒などを日常的に飲用することで、眼精疲労に対して高い効果を得られるといわれています。
リラックス効果
菊花の特徴である豊かな香りには高いリラックス効果(鎮静効果)があります。
菊花をお茶にしたり、お風呂に入れるなどすると神経を鎮めてリラックスに働きかけます。リラックスした状態を続けることで、免疫力が高まり、風邪対策やアンチエイジングにも良い影響を与えます。
痛風を予防・改善する効果
痛風とは、血中の尿酸値が高くなることにより尿酸の結晶ができ、関節の内面に付着し痛みがでる疾患です。通常、体内で作られる尿酸の量と排出される量はほぼ同じ量ですが、つくられる尿酸と排出される尿酸のバランスが崩れると、尿酸プールがあふれて高尿酸血症を起こします。菊花に含まれているポリフェノールには、この体内で作られる尿酸の量を減らし、体外へ排出される尿酸の量を増やすという、2つの作用があるといわれています。この作用により、尿酸の体内でのバランスを整えるということが明らかになっています。
老化を防ぐ効果
菊花は世界でもっとも古い薬学書である「神農本草経」に「長く飲み続ければ、老化を遅らせる」と記載されています。また、菊花には目のアンチエイジング効果が証明されています。目の老化が進行する原因のひとつに、眼球でレンズの役割を果たしているたんぱく質が年齢とともに糖化が進んでしまうということがあります。
糖化とは、老化促進物質であるAGEsが大量に発生し、たんぱく質が変性・劣化してしまうことです。AGEsは一度できると分解されにくい物質のため、血液中の糖の濃度が高ければ高いほど糖化が促進されるといわれています。菊花には、2種類のAGEsの生成を阻害する作用があることが実験で証明されています。これは、菊花に含まれるフラボノイド類の働きによるものであると考えられています。さらに、菊花には体内に発生した活性酸素を除去する働きをもつ、グルタチオンの体内での産生量を促進する働きがあることが明らかになっています。これらの働きにより、菊花を摂取することによってアンチエイジング効果を期待することができます。
美肌効果
菊花には、ビタミンB1、ビタミンE、アミノ酸などの肌の健康を保つ栄養素を豊富に含んでいるため、肌を美しくする効果があります。また、菊花茶は吹き出物にもよいとされています。菊花の持つ解毒効果が、熱を取り、皮膚の炎症を和らげてくれるからであると考えられています。
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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p121
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/kikuka/