ユキノシタ 【雪ノ下】
【効き目】
耳の痛み、中耳炎、歯痛、神経痛、かぶれ、腫れものの改善など
全国に分布し繁殖力も旺盛、「雪の下でも枯れない」のでユキノシタと言われ湿地や日陰でも元気に育つ。万病の助けになります。初夏に白い五弁の花が咲きます。中国では葉が虎の耳の形をしていると言うので「虎耳草」と呼ばれます。ユキノシタは冬の寒さで雪にうずもれても消えも枯れもせず、たくましく風雪の中で生きています。見えない土の中であのたくましい根で育て雪にも寒さにも負けない力を養い、弱った人の体に恵みと力を与えてくれます。特に生葉に効用があり、昔から民間薬として使われてきました。中耳炎などに効く薬として有名で別名「ミミダレグサ」とも呼ばれます。生の葉は四季を通じて通年採取できます。幼い子のいる家では庭に植えておくと命拾いすることが多い。幼い子が急に熱を出した時に、この野草をすりつぶし、汁を絞って盃半分くらい飲ませると卓効があります。ユキノシタは中国、日本では本州以南などに分布しているユキノシタ科の多年草です。日陰を好んで育ち、湿った場所や岩場に生育しています。ユキノシタは、5月から7月頃に、2枚の白く大きな花弁と3枚の赤紫色の斑点のある小さな花弁をもつ花を咲かせます。葉の裏面は紫色を帯びており、特に若葉で鮮やかな紫色をしています。ユキノシタの花は、その美しさから「花が雪のようにみえる」ともいわれており、観賞用としても人気があります。そのため庭先などでよく栽培されています。また葉は食用として、テンプラや茹でて利用されています。ユキノシタの名は、「冬の雪の下でも枯れない」または、「花を雪に例え、その下に緑がある」ことから名づけられました。また学名のsaxifragaceaeには、石「saxun」を砕く「fragera」という意味があります。さらに葉が虎の耳の形に似ているため、ユキノシタは中国では虎耳草とよばれています。ユキノシタは古くから民間薬として親しまれており、やけどや発熱などに利用されてきました。江戸時代には、煮売屋(今の居酒屋)の店先に、アワビの貝殻に盛ったユキノシタが看板のかわりとして吊り下がっていました。この光景は、アワビの貝殻から垂れ下がった紅色の側枝が煮こぼれているようにみえることから、「雪の下蚫の貝を煮こぼれへ」と詠った古い川柳があります。また「雪の下くぐって帰るいい機嫌」と詠われた川柳もあります。
ユキノシタに含まれる成分と性質
ユキノシタは、硝酸カリウム、塩化カリウム、アルブチン、ベルゲニンなどを含んでいます。硝酸カリウム、塩化カリウムは、利尿作用があります。またアルブチンには、メラニンの合成抑制作用があり、ポリフェノールの一種であるベルゲニンには、抗酸化作用があります。このようにユキノシタは、その作用の多さから日本でも民間療法に利用され、中耳炎や風邪の症状緩和、やけどなど幅広く利用されています。
ユキノシタの効果
中耳炎を改善する効果
ユキノシタには、抗菌作用を示す成分が含まれているため、中耳炎にも効果があります。ユキノシタは耳の薬として有名で、地方によってはミミダレグサとも呼ばれています。明治時代の書物には急性の中耳炎の時には、生のユキノシタのついた汁を耳にたらすという方法が記載されており、臨床試験でも中耳炎に対する効果が示されています。中耳炎は、細菌やウイルスの感染により、中耳が炎症を起こした状態のことをいいます。よって膿が出る中耳炎には水洗いしたフレッシュハーブをもみ、出てきた汁を清潔なコットンにつけて耳腔につめると効果的です。また吹き出物にはフレッシュハーブをもみ、アルミ箔などに包んで火にかけて柔らかくしたものを、直接患部につけて膿を出して使用します。
美白効果
ユキノシタには、美白効果があります。メラニン生成は、皮膚の基底層にあるメラノサイトが、紫外線やホルモンの影響により、皮膚を守ろうとする防御機能が活性化することで起こります。通常メラニンはターンオーバーにより肌表面に押し出され、垢となって排出されますが、メラニンの過剰生成や、ターンオーバーが正常に行われないと、排出されずに皮膚内部に蓄積します。これがシミとなるのです。ユキノシタには、メラニンの合成を阻害するアルブチンという成分が含まれています。また近年ユキノシタの全草エキスに紫外線がもたらす活性酸素によるDNA障害の修復を促進する効果が報告され、アンチエイジングや美白効果を目的とした化粧品に配合されるようになりました。
むくみを予防・改善する効果
ユキノシタには、むくみを予防・改善する効果があります。
むくみとは細胞内に余分な水分がたまってしまった状態のことです。栄養素や酸素と一緒に細胞に運ばれた水分が、静脈やリンパ液の中にスムーズに回収されなかったために起こります。むくみを防ぐには、体内のナトリウムとカリウムによる水分調節をスムーズにすることが重要です。ユキノシタには利尿作用のある硝酸カリウム、塩化カリウムを含むことから、乾燥した葉をハーブティーにして飲むと効果的です。
炎症を抑制する効果
ユキノシタは、炎症を抑制する効果があります。ユキノシタの煎出液はユキノシタに含まれるタンニンのせいで少し苦みと辛みがあります。このためやけどの時には湿布として利用されます。また痔にもよく、煎出液を清潔なコットンにつけて患部を優しく拭いて用いられます。
風邪の症状を緩和する効果
ユキノシタは、解熱作用や抗炎症作用があるためがあるため、風邪で熱が出ているときや扁桃腺がはれているときは煎じた液を飲みます。このことからユキノシタは風邪の症状を緩和する効果があります。
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※参考文献一覧
東城百合子、野草と野菜、三笠書房、2019、p65
わかさの秘密
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