マートル (フトモモ科) 和名ギンバイカ
【効き目】
収れん、殺菌、抗炎症、安眠、呼吸器系の不調改善、抗真菌、抗ウイルス、鎮静、去痰など
マートルはティーツリーやユーカリと同じフトモモ科に属し、小ぶりな白い花を咲かせる植物です。梅の花に似ていることから、日本では「ギンバイカ(銀梅花)」と呼ばれています。ユーカリやティーツリーをはじめとしたフトモモ科の植物はオーストラリアを原産とすることが多いですが、マートルは地中海沿岸が原産地です。小ぶりな白い花を咲かせ、葉からは香料を採取することができます。黒い実はマートルベリーと呼ばれ、こちらは食用可能です。原産地付近で栄えた古代文明でもマートルは大切にされてきました。シュメール文明では、女神イシュタルの聖花とされ「エデンの園の香り」ともいわれています。イシュタル信仰は時代が進むにつれて古代ギリシャのアフロディーテ、ヴィーナスと言った女神に受け継がれていきます。このため、アフロディーテやヴィーナスにもマートルが捧げられてきました。
祝いの木としてブーケなどに使われる
女神に捧げられる花として知られるマートルは、古代ギリシャでは「愛と不死」の象徴として扱っていました。その使用方法はさまざまで、媚薬や香水、料理など幅広く活用していたと言われます。ローマでは結婚式に欠かせない花であり、今でも愛と純潔を示す花として花嫁のブーケや髪飾りに使われています。結婚式に使われるイメージが強いことから「祝い木」という別名も持ちます。その他、マートルは「ミルトス」という表記で『旧約聖書』にも登場します。現在でもユダヤ教では儀式にマートルが用いられています。
マートルの効果・効能
リラックス効果
マートルの精油成分には、α-ピネンが多く含まれています。α-ピネンは森林浴効果があるとも言われており、鎮静作用を期待できます。マートルの香りは気持ちを落ち着かせ、神経が高ぶって眠れないときにも効果的です。α-ピネン以外にも、リモネンやリナロールなど、リラックスをサポートしてくれる成分が含まれているので、マートルは心の乱れを落ち着かせ、精神のバランスを取り戻したいときに用いると効果的です。柔らかな甘い香りが、ストレスや緊張で疲れたり、イライラしたときに心を癒し、精神のバランスが整うことで、本来の明るさを取り戻してくれます。
風邪の予防
マートル精油には、α-ピネンをはじめ、1.8-シネオールやリモネンなど、免疫力を向上させ、抗菌・抗ウィルス作用を持つ成分が多く含まれています。特に1.8-シネオールは抗炎症作用や抗アレルギー作用もあるため、風邪やインフルエンザ、喘息、気管支炎、花粉症、鼻炎などの幅広い呼吸器の不調の軽減に役立つと考えられています。呼吸器のケアのほかにも、膀胱炎や尿道炎などの感染症に効果があります。また、マートルはフトモモ科の植物の精油の中でも優しい香りであるという特徴があります。ユーカリやティーツリーのツンとしたカンファー調の香りが少し苦手という人は、マートルの精油を試してみるのをおすすめします。
肌の調子を整える
マートルの精油に含まれるα-ピネンや1,8-シネオールなどの精油成分は、毛穴や皮膚のたるみを引き締める収れん作用があると言われています。殺菌作用も期待できるため、毛穴の汚れやニキビで悩んでいる人のケアに適しています。また、収れん作用によって皮脂の分泌を抑えることもできるので、頭皮や髪の脂っぽさに悩んでいる人にもおすすめです。皮膚が引き締まることで、しわやたるみの予防にもつながるため、マートル精油はエイジングケアにも効果的です。
※1,8-シネオールは皮膚刺激性も指摘されているため、敏感肌の人は肌に直接塗布するのは避けた方がいいでしょう。敏感肌以外の人も、低濃度に希釈したものでパッチテストを行ってから使用することをおすすめします。
香詩乃
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※参考文献一覧
フロムココロ
https://www.fromcocoro.com/kaori/article/47936