イブニングプリムローズ   (アカバナ科)

ハーブ

イブニングプリムローズ  (アカバナ科)和名    月見草、マツヨイグサ


【効き目】
γ-リノレン酸(GLA)の補給によるエイコサノイドの調整、生理痛、生理前症候群、リウマチなどのアレルギー疾患、湿疹など

幕末に日本に入ってきたとされますが、野生のものは見かけません。もとはアメリカの先住民が全草(根を含めた丸ごと)食料にしたり、種の油を傷や皮膚炎に塗ったりしていました。種子から採れる油はホルモン調整のポイントとなります。健康食品に使われることが多く、アトピー性皮膚炎やリウマチなどのアレルギー疾患や生理痛、生理前症候群などへの効果が期待されます。月見草は、アカバナ科マツヨイグサ属に属する二年草で、夕方に花が咲いて朝には萎むという特徴を持ちます。成長すると高さ60cm程になり、学名はメマツヨイグサといいます。月見草の開花は6月~9月頃で花が咲き始める夕方には白色をしていますが、花が萎む翌朝には薄いピンク色になるため、ヨーロッパではイブニングプリムローズと呼ばれています。月見草は種子に健康効果があるとされ、月見草の種子を低温で圧搾して月見草油が抽出されます。月見草油には、γ-リノレン酸が豊富に含まれています。
γ-リノレン酸は母乳にも含まれている成分で、最近では離乳食や粉ミルクにも配合されています。動脈硬化や高血圧の予防をはじめ様々な働きが期待できることから、月見草油は健康食品としても注目されています。

月見草の歴史
月見草の歴史は古く、アメリカの原住民であるネイティブ・アメリカンに利用されてきました。アメリカン・ネイティブ・アメリカンは月見草を刈り集めると、葉から茎、花や種までも丸ごとすり潰して傷口に塗ったり、できものの治療にしていました。また、咳を鎮めたり、痛み止めの内服薬としても利用されていました。薬用として利用されていた月見草は17世紀になってからイギリスに伝えられ、「王様の万能薬」として珍重され、瞬く間にヨーロッパ全土に広がりました。こうして、アメリカン・ネイティブ・アメリカンの生活の知恵であった月見草は、ヨーロッパで薬用植物として、多くの人々に親しまれるようになりました。しかし、薬用植物として定着していた月見草も20世紀に入ると他の薬用植物と同様、化学的に合成された薬品の登場によって、あまり利用されなくなりました。再び月見草が脚光を浴びるようになったのは、1930年代に人体の組織内にほんの微量存在する成長ホルモンであるプロスタグランジンが発見されたことによります。研究が進むとともに、その材料となるγ-リノレン酸が注目されはじめ、天然に存在するγ-リノレン酸が月見草に多く含まれていることが分かりました。その後、様々な研究を経て健康に対する効果が明らかとなり、サプリメントをはじめとした健康食品や化粧品として利用されるようになりました。

月見草の種子に含まれるγ-リノレン酸
月見草の種子に含まれる脂肪酸には、必須脂肪酸のγ-リノレン酸が約7.5%も含まれています。リノレン酸には、「α(アルファ)」「β(ベータ)」「γ(ガンマ)」などの種類があり、これらは発見された順番を表しており、γ-リノレン酸は3番目に発見されたことを意味しています。γ-リノレン酸は、構造の中に3つの炭素結合を持つn-6系の多価不飽和脂肪酸で、別名「ビタミンF」とも呼ばれています。n-6系とは、脂肪酸構造の中にある炭素の最初の二重結合が、6つ目と7つ目の炭素の間にあることからこのように呼ばれ、リノール酸やアラキドン酸と同じ種類に分類されます。γ-リノレン酸は、体内でジホモ・γ-リノレン酸を経てアラキドン酸に変換されます。ジホモ・γ-リノレン酸はプロスタグランジン系列という生体調節ホルモンの材料となる物質です。プロスタグランジンとは、血圧や血糖値、コレステロール値の降下、血液凝固の阻止、血管拡張、気管支拡張、子宮収縮など多くの調節作用が認められており、ごく微量でも強い生理作用を持っています。γ-リノレン酸は、皮膚機能の維持に必要な成分といわれ、γ-リノレン酸が不足してしまうと、水分の調節機能が正常に働かず、乾燥が起こることにより本来皮膚が持っている免疫機能が低下してしまいます。そのため、γ-リノレン酸の不足は皮膚の炎症を招き、アトピー性皮膚炎を発症しやすくなります。デイヴィッド・ホロビン博士が行ったアトピー性皮膚炎の研究によって、アトピー性皮膚炎患者の血中γ-リノレン酸含有量は健常者の50%しかないことが判明し、アトピー性皮膚炎には、γ-リノレン酸が非常に重要な成分であることが明らかになりました。そのため、主にヨーロッパ(イギリス、ドイツ、フランス)では医薬品としてアトピー性皮膚炎の治療にγ-リノレン酸が用いられています。このように様々な効果を持つγ-リノレン酸は、月見草の種子の他にカシス種子油やボラージ草(日本名:るりちしゃ)から抽出された油に含まれており、一般の食品にはあまり含まれていない成分です。

イブニングプリムローズの効果

生活習慣病の予防・改善効果
月見草油に含まれるγ-リノレン酸からつくられるプロスタグランジンE1には、血糖値やコレステロール値、血圧を下げる効果があります。血糖値やコレステロール値の上昇は動脈硬化や高血圧などを招くため、γ-リノレン酸の摂取は生活習慣病の予防や改善に効果があると期待されています。また、γ-リノレン酸を継続して摂取することで中性脂肪の上昇が抑えられ、善玉(HDL)コレステロール値の低下を防ぐ働きがあることが分かっています。代謝促進などの働きもあることからダイエット効果も期待されています。

美肌効果
月見草油は、美肌効果が期待できるといわれています。月見草油に含まれるγ-リノレン酸には、皮膚細胞の防御機能を増大させて保護膜のように皮膚を守る効果があるといわれています。また、月見草油に含まれるリノール酸も豊富に含まれていることから保湿作用に優れており、美肌に対する効果が期待されています。乾燥によって角質がうろこ状に荒れてしまったような症状の改善にも有効的だという報告があります。月見草油は、経口服用することと直接肌に塗ることで相乗効果が得られると注目を集めています。

アトピー性皮膚炎を改善する効果
アトピー性皮膚炎とは、アレルギー体質に様々な刺激が加わって生じる、かゆみを伴う慢性的な皮膚疾患のことです。食生活や生活環境、遺伝や人間関係、精神的なストレスなど、様々な要因が重なり合って発症するといわれています。症状としては、湿疹と強いかゆみが特徴で、患部から組織液が浸出したり、慢性化すると鳥肌だったようにザラザラとした皮膚が次第に厚くなったりします。アトピー性皮膚炎の患者は血中γ-リノレン酸が不足しているので、月見草に含まれるγ-リノレン酸を摂取することでアトピー性皮膚炎の患者に対しての効果があると期待されています。

月経前症候群 (PMS)の症状を緩和する効果
月経前症候群(PMS)とは、月経前のイライラや胸の張り、むくみ、頭痛などの症状のことを指します。これらの症状の原因は女性ホルモンのバランス異常ではないかと考えられてきましたが、近年の研究により月経前症候群の症状を訴える女性の多くは、γ-リノレン酸の血中濃度が低いことが示唆されています。体内のγ-リノレン酸量が少なくなると、プロスタグランジンE1の働きが抑制されることにより、ホルモンバランスが乱れ、子宮内膜が正常に機能しないなどの症状が現れるといわれています。

更年期障害の症状を改善する効果
更年期とは、女性特有の症状で卵巣から分泌されるエストロゲンなどの女性ホルモンが減少し始める、閉経前後10年程の期間を指します。女性ホルモンの減少によって自律神経のバランスが崩れ、体のほてりやのぼせ、大量の汗、冷え性、肩こり、不眠といった様々な症状が発生します。こうした更年期症状に対して、月見草油に含まれるγ-リノレン酸は生理的安定期の回復を促す作用があるといわれています。月見草油には体が備えているバランス調整機能を活発にし、健全な状態に導く効果が期待されています。

肝機能を高める効果
月見草油が肝臓機能の回復に効果があることが、臨床試験によって証明されています。スコットランドでアルコール中毒患者を2グループに分けて、一方に月見草油を投与しました。結果は投与グループでは肝臓障害に顕著な改善がみられました。
月見草油がもたらす生理作用が、肝臓の機能を強化し、機能の回復に大きく寄与しているといわれています。

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※参考文献一覧
すすきちえこ、はじめてのハーブ手帖、メディアパル、
2020、p106
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/tsukimisou/

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