ウコン (ショウガ科)和名 ターメリック(秋ウコン)、ワイルドターメリック(春ウコン)
【効き目】
強肝、利胆、消炎、消化不良、肝臓の疲労や予防(秋ウコン)、生活習慣病予防、健康維持(春ウコン)など
CMなどで認知度が高いウコンは、お酒を飲む前に摂取すると効果があるとされ、ドリンク剤やサプリメントで使われています。数多くの品種があり、主に秋ウコン(ターメリック)がメディカルハーブとして活用されます。春ウコン(ワイルドターメリック)は、コレステロールの分解や、がん・動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立てられます。秋ウコンに比べ、色味が薄いことも特徴です。ウコンはアジアの伝統的ハーブで、ジャワ島やバリ島では、植物療法で処方されてます。とくに肝臓の疲労を回復、予防する作用があります。ほかにも、消炎作用を持つことから皮膚病やリウマチ、関節炎にも用いられます。また、料理に活用されるスパイスでもあります。カレーの黄色を作っているのがターメリック(ウコン)の色素で、鮮やかな黄色い色素は、植物染めにも用いられます。ウコンの食用パウダーは手軽に入手できますが、衣服に付くと落ちないこともあるので注意が必要です。ウコンとは、ショウガ科クルクマ属の多年草です。原産地は東インド地方で、アジアやアフリカ、中南米の熱帯から亜熱帯の高温多湿な地域にかけて広く自生しており、現在世界中に50種類ほどのウコンが見つかっています。日本でウコンと名称がつくものには、春ウコン、秋ウコン、紫ウコン、黒ウコンの4種類があります。和名の鬱金(ウッチン)や英名のターメリック(turmeric)と呼ばれるものは秋ウコンを指しています。ウコンは、ポリフェノールの一種である黄色い色素、クルクミンを多く含むことで知られており、これは古くからアジア料理の代表的な香辛料や着色料として利用されてきました。一般的にウコンに含まれる色素クルクミンは着色料として、ウコン粉は香辛料として利用されています。その他の利用方法として、伝統的な医療法であるアーユルヴェーダやジャムー、また漢方としても広く利用されています。
ウコンの歴史
ウコンは、原産地である東インド地方で紀元前970年頃から栽培が始まりました。
日本には中国から琉球へ16世紀頃の室町時代、現在の沖縄がまだ琉球王朝であったころに伝わってきたといわれています。当時の琉球では、王朝専売品として高貴薬や着物の染料、食品の着色料として使用されていた貴重品で、民間での栽培は許されていませんでした。その後、1609年に琉球王朝が薩摩藩の支配下に入り、染料や生薬として全国的に流通するようになりました。
ウコンの生産地
ウコンは中国やタイ、インドネシアでも栽培されていますが、最も多く栽培しているのはインドです。年間生産量は約35万tにものぼります。ウコンは熱帯の植物のため、インドの中でも暑い南部で、主に栽培されています。インドでは、一年を通じて栽培可能ですが、雨季(7月~1月)と乾季(2月~6月)があり、雨季には畑が水浸しの状態になるため、乾季の6月に植え付け、2月~4月に収穫されます。
また、日本では沖縄や鹿児島などで栽培されており、沖縄はその中でも日本最大のウコンの生産地です。
日本で知られている4種類のウコン
数あるウコンの中でも、日本で一般的にウコンと呼ばれているものは、春ウコン、秋ウコン、紫ウコン、黒ウコンが知られています。それぞれ特徴があり、その特徴に合った方法で利用されています。
・春ウコン:春から初夏にかけて赤い花を咲かせます。生薬名を姜黄(キョウオウ)といい、沖縄の西表島に自生しています。クルクミンを少量含み、精油成分やミネラルを多く含んでいます。豊富な食物繊維とミネラル、精油の働きによって、腸に適度な刺激を与えることから、おなかの調子を整えることに優れています。
・秋ウコン:初夏から秋にかけて白い花を咲かせます。日本では沖縄で広く栽培されており、根茎の断面がオレンジ色をしているのが特徴です。沖縄では鬱金(ウッチン)の愛称として親しまれています。着物の染料やカレー粉、たくあんの色付けとしても利用されるほど、色素成分であるクルクミンを豊富に含んでいます。強い抗酸化力を持ち、肝臓の機能を強化したり、血管の健康を守る作用があります。
・紫ウコン:初夏にピンク色の花を咲かせます。日本では屋久島や沖縄で栽培されており、生薬名を莪朮(ガジュツ)といいます。根茎の断面が紫色をしていることから、紫ウコンと呼ばれるようになりました。クルクミンは含まれておらず、精油成分やミネラル、アントシアニンを含んでいるのが特徴です。古くから血行を良くする働きが知られています。
・黒ウコン:日本では沖縄で栽培されており、初夏に薄いピンク色の花を咲かせます。ショウガ科バンウノン属の植物で、根茎の断面は濃い紫色をしており、クルクミンを少量含みます。ミネラルの一種であるセレンやポリフェノールの一種のアントシアニンも含んでおり、滋養強壮に良いとされています。
ウコンに含まれる成分と性質
ウコンに含まれている成分で、最も有名なのがクルクミンです。
クルクミンはポリフェノールの一種で、カレー粉のスパイスであるターメリックに含まれる、黄色の色素のことをいいます。ウコンのスパイスとしての用途は、料理の色付けです。香味はスパイスの中では弱く、辛みもほとんどありませんが、少しの土臭さを感じさせるほろ苦い味が特徴です。鮮やかな黄色を有していることから、天然の着色料として食品に添加されるほか、着物などの衣料の染料としても利用されています。アルカリ性溶液やエタノールには溶け、水には溶けにくいという性質を持っています。また、その他の成分として、カンファーやシネオール、リン、鉄、カルシウム、マグネシウムなども含んでいます。
<豆知識>インドで身近なウコン
ウコンは、インドや中国、中央アジア地域では、2000年以上前から栽培・利用されてきました。中でもインドでは、料理にスパイスを多用しますが、ウコンは主要なスパイスとして利用されています。料理のほとんどが黄色い色をしているほどウコンは多く利用されているのです。
ウコンの効果
肝機能の向上・胆汁の分泌を促進する効果
ウコンは一般的に肝機能向上効果と胆汁分泌促進効果が知られています。
肝臓は、腹部の右上、ほぼ肋骨の下に位置しており、代謝、排出、解毒、体液の恒常性の維持などにおいて非常に重要な役割を担っている臓器です。特にアルコールを分解する力があるとして、一般的には知られています。「沈黙の臓器」ともいわれており、損傷などがあった場合でも症状として現れにくいのが特徴です。症状として現れる頃には非常に悪化している場合が多くあります。胆汁とは、肝臓で生成されるアルカリ性の液体のことをいいます。食品中の脂肪を乳化することで、脂肪の消化、吸収に役立ちます。ウコンを摂取することにより、胆汁の分泌が促進され、肝臓の解毒作用が高まり、肝臓の機能が向上するといわれています。
食欲増進効果
ウコンには胃の働きを活発にすることで食欲を増進させる効果もあるといわれています。消化不良の患者116名を対象にした試験において、ウコンを7日間摂取させたところ、症状が改善されたという結果も出ています。また、胃液分泌を高め、胃粘膜を保護する働きもあるといわれています。
血流を改善する効果
ウコンには、抗酸化作用を持つため、血中の悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぎ、コレステロール値を下げ、血流を改善する作用があります。また、このことにより動脈硬化を防いで、脳卒中や心臓病を予防する効果も期待されています。
免疫力を高める効果
ウコンには、炎症抑制効果や抗菌効果などがあり、免疫力を向上する効果も期待されています。
腸内環境を整える効果
ウコンには食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境改善効果も期待されています。
脳機能を活性化させる効果
ウコンに含まれるクルクミンには脳を健康に保つ効果が期待できます。
ウコンをスパイスとして利用する料理のひとつとして「カレー」が良く知られています。カレーを用いた最近の研究で、カレーを食べることで脳の一部が活性化され、IQが「7」あがったという結果が報告されました。被験者にカレーとコントロール食をそれぞれ摂取させた後にテストを行った結果、脳が活性化され、試験の課題をたくさん解くことができるようになりました。また、その他の近年の研究では、ウコンに含まれるクルクミンは病気の原因となるたんぱく質の蓄積を予防し、アルツハイマー病予防に役立つという報告もあります。
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