メロン  (ウリ科)

果実

メロン   (ウリ科)

【効き目】
発熱、イライラ、のどの渇き、高血圧、疲労など

夏に旬を迎える果物なので、体を冷やし熱やほてりを取り除きます。暑さによるイライラも鎮めてくれます。また、唾液を出すことで、のどの渇きを癒す効能もあります。疲れたときや夏バテ予防にもってこいです。高血圧やむくみを予防するカリウムが豊富で、血液をサラサラにするアデノシンという成分も含まれ、脳卒中や心臓病の予防も期待できます。メロンは、ウリ科キュウリ属のつる性の一年草で、旬の時期は5月~7月です。メロンの原産地はアフリカで、中近東で栽培化されて東西に伝わっていきました。東へ伝わったものを東洋系メロン、西へ伝わったものを西洋系メロンと呼びます。日本に古くからあるマクワウリやシロウリなどの東洋系メロンは、2000年以上前に朝鮮半島や中国から日本に伝わったと考えられ、縄文~弥生時代の遺跡から種子がみつかっています。さらに明治時代になると欧米から網目のあるネットメロンなどの西洋系メロンの品種が多く導入されました。

メロンの種類

・マクワウリ
「マクワ」の名前は当時の美濃国真桑村が特産地として知られたことによるものです。昭和30年代までは庶民の夏の果物として広く栽培されていましたが、現在では産地といえるほどの栽培地はありません。果形は丸型から円筒型、俵型、偏円型など様々で重さも300gから1kgにわたります。甘さや香りは控えめですが、さわやかな風味があります。

・プリンス型メロン
マクワウリと南ヨーロッパの品種であるキャンタロープの交配種です。マクワウリにはない高級感から、たちまち消費者に受け入れられ栽培が全国に広がりました。それまで高嶺の花であったメロンを一般大衆のものとしたさきがけの品種といえます。

・ハウスメロン(ノーネット型)
ネットと呼ばれる果皮の網目がない品種です。果肉は白肉か緑肉のものが主流で、果皮と果肉が白色で糖度が高く肉質も良いホームランスターや、黄色い皮のキンショーなどがあります。

・温室メロン
温室メロンの一種であるアールス・フェボリットは、「果物の王様」という地位を確立しています。やや香気に乏しいものの、麝香(ムスク musk)に似ているとされるその芳香からマスクメロンとよばれています。現在、一年を通して同じ外観・品種のメロンを栽培することができるようになったのは、温室メロンは長期にわたり改良されてきたためともいえます。入念な温度管理と水分管理のもと、1株あたり1果実のみが収穫されます。栽培が難しく、高価であるので、主に贈答用や業務用に利用されています。生産地は静岡県と愛知県です。

・ハウスメロン(ネット型)
ネット(網目)が密に入る高級感のある外観で、食味や日持ちに優れたアンデスや、表面に縦筋ができ、高糖度で肉質の優れたアムスや、現在ハウスメロンの中心です。またネット型ハウスメロンは品種改良が進み、栽培が簡単で、生産の主流となっています。

・ハウスメロン(ネット型赤肉系)
代表品種は北海道の夕張メロンです。赤肉系メロンには、緑黄色野菜のほうれん草に匹敵する多量のβ-カロテンが含まれています。

メロンの食べ頃
おいしいメロンは、色が均一でずっしり重く、網がくっきりとしています。メロンの底の部分を押し少しへこんだら食べ頃です。かたい時は、室温でさらに熟すとよいです。しかし熟しすぎると、かえって味が落ちるので、食べごろになったら冷蔵庫に入れて、早めに食べきるようにしましょう。なお、メロンは冷やすと甘味が増しますが、冷やしすぎは胃に負担をかけるので注意すべきです。

〜豆知識〜メロンの食べ合わせ
メロン+ヨーグルト
メロンはビタミンCが豊富なので、たんぱく質の豊富なヨーグルトと組み合わせることでバランス良く栄養をとることができます。またヨーグルトの酸味でメロンをおいしく食べることもできます。
メロン+生ハム
イタリア料理の前菜でよく目にする組み合わせです。これはハムのナトリウムを排出し、減塩効果を高めるカリウムの効果を生かすためにも好ましい食べ合わせといえます。またメロンには、たんぱく質分解酵素を含んでいるので肉の消化をよくする働きもあります。

メロンに含まれる成分と性質
体内でビタミンAに変わるβ-カロテンや食物繊維などの有効成分の多くは、メロンの種に近いワタの部分に存在します。またワタの周辺には、血液をサラサラにするアデノシンという成分が含まれており、脳卒中や心臓病予防に役立つと考えられています。できるだけワタの部分は、捨ててしまわずに食べるべきです。さらにメロンには、ほてりを冷まして炎症を鎮める効果や、胃腸の働きを活発にして食欲を増進させる効果も期待できます。

メロンの効果

疲労回復効果
メロンに多く含まれているのが、果糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖質です。これらは、同じエネルギー源でも脂質やたんぱく質と比べて、体内ですばやくエネルギーに変わります。そのため夏バテの回復には効果的です。またメロンにはクエン酸も含まれています。クエン酸は、糖の代謝を活発にし、乳酸を燃焼させてエネルギーにかえる働きがあります。これらのことからメロンは疲労回復効果の高い食べ物であるといえます。

高血圧を予防する効果
メロンには、すいかの約3倍のカリウムが含まれています。カリウムには、余分なナトリウムを排出し、体内の水分バランスを整える働きがあり、高血圧の予防やむくみの解消に有効です。さらに夏場は汗をかくことでカリウムが失われやすいので、初夏が旬のメロンはよい供給源になります。また血圧を下げる効果があるとされるGABA(ギャバ)も多く含まれています。

免疫力を高める効果
メロンには、β-カロテンが含まれています。β-カロテンは、必要なだけ体内でビタミンAに変換され、残りは体内で抗酸化作用を発揮します。ビタミンAは粘膜を保護し、ウイルスの侵入を防ぐ効果があります。またβ-カロテンは発がん物質がDNAを傷つけるのを防いだり、傷ついたDNAを修復する力を高めたり、活性酵素の働きを弱めて酸化を防ぐなどの効果があります。またメロンには抗酸化酵素SODも含まれており、β-カロテンと同様に、酸化ストレスを予防し、免疫力維持に役立ちます。さらにメロンに含まれる食物繊維には、発がん物質を体外に排出する効果があります。これらの効果により免疫力を高め、がんやかぜの予防に期待ができます。

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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p105
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/melon/

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