小松菜 (アブラナ科)
【効き目】
のぼせ、ほてり、更年期症候群、イライラ、高血圧、消化不良、肌荒れ、便秘など
熱を冷まし、気を降ろして焦燥感を取り除く効能があります。更年期症候群の、のぼせやほてり、月経前のイライラする気持ちを鎮めてくれるでしょう。また、胃腸の調子を整えるとともに、腸内の水分を補って便秘の改善にも。緑黄色野菜の中でもカルシウムの含有量はモロヘイヤに次いでトップクラス。β-カロテン、ビタミンC、鉄なども豊富です。小松菜とは、アブラナ科の緑黄色野菜です。小松菜の名前は、東京の小松川村 (現在の江戸川区小松川地区)でたくさん栽培されていたことに由来しています。小松菜にはカルシウムや鉄、ビタミン類などが豊富に含まれており、野菜の中でもトップクラスの栄養価を持っています。
小松菜の品種
小松菜の葉は、表は濃い緑色、裏はやや薄い色をしています。葉にやや丸みがある東京小松菜、葉が丸く厚みがある丸葉小松菜などがあり、葉色の濃いものが好まれます。小松菜は、葉が硬くなり過ぎないよう生育途中の柔らかいものを収穫します。日本各地に独自の名前で呼ばれる様々な種類があり、どの品種も雪に強いといわれています。
・武州寒菜 (ぶしゅうかんな)
群馬県と埼玉県で多く栽培される品種です。寒さに大変強い特徴を持っています。
・信夫菜 (しのぶな)
福島県で栽培される品種で、葉の縁に切れ込みが入っているのが特徴です。
・女池菜 (めいけな)
新潟県原産の品種で、甘さとぬめりが特徴です。独特の風味を持っています。
・大崎菜
300年ほど前に新潟県の大崎という地域で改良されて定着した品種で、わき芽を次々と収穫することができます。苦みが強く、味が濃いことが特徴です。
小松菜の歴史
小松菜の原産地は、南ヨーロッパの地中海沿岸といわれています。ヨーロッパから中国を経由し、江戸時代の初期に日本に伝えられた「くくたち (茎立ち)」というかぶが、小松菜の祖先にあたります。かぶの子孫が各地に広がり、一部は葉を食べる野沢菜、チンゲン菜などの漬け菜となりました。そのひとつが、当時小松川村で栽培されていた葛西菜 (かさいな)です。小松川村は、荒川や江戸川が流れ込み、水が豊かで野菜の一大産地となっていました。小松菜は五代将軍の徳川綱吉によって名付けられました。小松川村に鷹狩をしに訪れた時、葛西菜と呼ばれていた青菜を汁にして献上したところ、非常に喜んだ綱吉が、小松川村に由来して小松菜と命名したのです。小松菜という名前は、幕府から土地の名を賜った立派な名前なのです。
小松菜の生産地
小松菜は全国で生産されていますが、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などが主な生産地です。また、大阪でも生産されています。関東地方だけで、全国の約8割を生産しており、東京都が生産量1位~2位を誇ります。小松菜は栽培期間が短く、秋冬まきは80~90日かかりますが、夏まきは20日前後で収穫することができます。寒さにも強い特徴を持つため様々な環境に対応でき、ハウス栽培、トンネル栽培、露地栽培などによって一年中生産されています。
小松菜の旬
現在では1年を通して食べられることも多くなりましたが、本来小松菜は12月~3月にかけて冬に旬を迎える野菜で、冬菜や雪菜、うぐいす菜とも呼ばれます。寒さに強く、葉が凍っても枯れることなく育ちます。冬に霜にあたった小松菜は、葉が厚くなりアクも抜けてより一層おいしくなります。新鮮であれば生でも食べることができるほどで、下ゆでせずに汁物や炒め物に使ってもアクを感じさせないという特徴があります。
小松菜のおいしい食べ方
小松菜は、葉が鮮やかな緑色で、葉肉が厚く、葉先までピンとしているもの、根元がしっかりしているものを選ぶと良いといわれています。また、株が大ぶりのものが特においしい小松菜です。農薬を除去するときのポイントは、ボウルに流水を受け、小松菜を5分ほどつけてから5回ほど強い流水でザブザブとふり洗いをすることです。根元を特によく洗うことが良いとされています。小松菜はアクが少なく、下茹でせずにそのまま炒めたり、茹でても水にしばらくさらしておく必要がないため手軽に調理できる野菜です。また、そのまま調理できるため小松菜に含まれる水溶性のビタミンの損失を抑えることができ、効率良く摂取することができます。
小松菜に含まれる栄養成分
小松菜には、カルシウムや鉄、カリウムなどのミネラル、体調を整えるビタミン類などが豊富に含まれています。野菜の中でもカルシウムは特に多く含まれ、ほうれんそうの3倍以上も含まれており、骨粗しょう症の予防に役立ちます。カルシウムは吸収率が低いため、ビタミンDを多く含むキノコ類や魚介類と組み合わせて調理すると体内での吸収率が高まります。ビタミン類は、ビタミンC、ビタミンA (β-カロテン)、ビタミンB群などが豊富に含まれ、ストレスに対する抵抗性を高めたり、皮膚や粘膜を丈夫にし、免疫機能を維持する働きがあります。
〜豆知識〜小松菜からつくられた新野菜
小松菜の柔らかさと、くせのない特徴が好まれ、近年品種改良により、他の野菜と小松菜をかけ合わせた新野菜が誕生しています。小松菜とチンゲン菜をかけ合わせた「べんり菜」、中国野菜であるターサイとかけ合わせた「ちょうほう菜」、香川県の野菜であるさぬきなとかけ合わせた「食べて菜」などがあります。ちょうほう菜は漬物から油炒めまで幅広く使うことができ、食べて菜はシャキシャキとした食感と食べやすさが特徴です。小松菜の良さとそれぞれの野菜の長所を活かし、夏の暑さに強く、姿形、葉色の良い新野菜にも注目が集まっています。
小松菜の効能
骨粗しょう症を予防する効果
小松菜には、カルシウムが豊富に含まれています。カルシウムは骨や歯のもととなり、体を土台からしっかりつくるために役立つ成分です。血液中のカルシウムが不足すると、骨から血液中にカルシウムが溶け出し、骨のカルシウム量が減少します。減少しすぎると骨密度が低下し、骨がスカスカになりもろく折れやすい状態となる、骨粗しょう症となります。カルシウムを十分に摂取することにより、骨を強く保つ効果があるため、野菜の中でもトップクラスのカルシウム量を持つ小松菜は、効率の良い補給源といえます。
ストレスを予防する効果
小松菜に多く含まれているカルシウムは、体内で神経伝達に関わる成分です。神経伝達をスムーズにすることにより、精神を安定させ、ストレスの緩和に効果的といわれています。また、小松菜にはビタミンCも豊富で、ストレスの原因のひとつである活性酸素を除去する働きをします。カルシウムやビタミンCは、どちらもストレスへの抵抗力を高めるために必要な栄養素であるため、これらを補うことのできる小松菜はストレスを予防するために適した野菜であると考えられています。
美肌効果
小松菜に含まれるβ-カロテンは、抗酸化作用を持つ黄色の色素で、体内で必要な分だけビタミンAに変換され、肌や粘膜の健康を守る働きがあり、肌のカサつきや肌荒れを改善する効果が期待できます。さらに小松菜に含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を促進し、肌のハリを保つ効果があるため、しわの予防や改善に役立ちます。また、ビタミンCにはシミを防ぐ働きもあります。小松菜に含まれる様々な栄養素の相乗効果により、小松菜は美肌を保つ効果が期待できます。
活性酸素を抑制する効果
小松菜には、β-カロテンが大変豊富に含まれています。β-カロテンは、老化やストレス、生活習慣病の原因のひとつである活性酸素を取り除く働きがあります。活性酸素は、体内をサビつかせ血管にダメージを与えて動脈硬化や血圧上昇を招いたり、細胞にダメージを与えて、ガンや老化を引き起こす原因となる物質です。β-カロテンが活性酸素を除去することにより、動脈硬化を予防する効果、高血圧症を改善する効果、糖尿病の予防・改善効果、細胞の健康を維持する効果などが期待でき、小松菜は生活習慣病をはじめとする様々な病気や体調不良の予防に役立つといえます。
貧血を予防する効果
小松菜には、貧血の予防に役立つ鉄が多く含まれています。
鉄は、血液中の赤血球の構成成分であるヘモグロビンの一部として、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。鉄が不足することによってヘモグロビンの量が減ると、全身の細胞や組織に十分に酸素を送り届けることができなくなり、顔が青くなる、息切れする、動悸が起こる、疲れやすくなる、立ちくらみがするなどの貧血の症状が起こります。小松菜には、貧血を予防する鉄だけでなく、鉄の吸収を高めるビタミンCも含まれているため、貧血の予防に効果がある野菜といえます。鉄は動物性のたんぱく質と一緒に摂ることによって吸収や働きが良くなるため、肉や卵などと組み合わせて調理するとさらに効率良く摂取することができます。
生活習慣病を予防する効果
小松菜には、カリウムが多く含まれています。人間は約60兆個もの細胞からできており、生きていくためには細胞の機能を維持することが必要です。カリウムは細胞内の水分に多く存在し、この濃度は、細胞の水分量や働きに大きく影響するため、常に適切な濃度を保つように調節されています。細胞の外にはナトリウムが多く存在し、ナトリウムが過剰になると水分のバランスが崩れ高血圧となります。カリウムは余分なナトリウムを、排泄し水分のバランスを保つ働きがあるため、血圧を下げ高血圧を予防する効果が期待できます。また小松菜は血栓融解作用を持つことから、動脈硬化や心血管疾患を予防する効果が期待できます。
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※商品サイト
※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p167
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/turnip_leaf/