わらび 【蕨】
【効き目】
便秘、関節痛、出血など
熱を冷ます効能があります。熱をもった関節痛や感染症の大腸炎によいでしょう。また、肌にうるおいと弾力を与えます。わらびは体を冷やすので食べ過ぎや毎日食べるのは避けましょう。食物繊維が豊富で、腸内環境をととのえ、便秘を解消したり、免疫力を強化したりします。細胞の再生を促すビダミンB2、老化を防ぐビタミンEのほか、皮膚や目、口、鼻の粘膜を丈夫にする働きのあるβ-カロテンも含みます。わらびとはシダ科の植物で山菜の一種です。全国各地の山に自生しており、葉が開く前の新芽を食します。しゃきしゃきとした食感と、とろりとした舌触りが特徴の食品です。地域によっては「わらびな」や「さわらび」とも呼ばれ、日本では万葉集にも登場するほど古くから親しまれてきました。旬時期は春で、3月から7月にかけて各地域で収穫されます。おおよそ3月下旬ごろから九州で旬を迎え、気温の高まりとともに本州や北海道で順に旬が訪れます。主な生産地は山形県・新潟県・福島県など東日本の地域です。農林水産省の「令和元年特用林産基礎資料」によれば、山形県が全体収穫量の約56%を占めています。わらびの料理はおひたしや煮物が一般的ですが、名産地の山形県ではわらびを細かくたたいた「わらびたたき」が有名です。また、わらびは若芽が食用されるだけでなく、地下茎も食品として利用されてきました。根元に豊富に含まれるでんぷんはワラビ粉に加工され、わらび餅の材料となっています。
わらびの種類
採れたてのわらびは山菜採りや直売所などで手に入りますが、普段の生活ではスーパーで市販されている加工品が使いやすいでしょう。以下に加工品の種類を紹介します。
乾燥わらび
乾燥わらびは、わらびを天日干しして乾燥させた製品です。あく抜きされていない製品もあるので、水で戻しながら下処理を行ないましょう。一般的な下処理方法は、水に浸けてから湯がく方法です。乾燥わらびを半日から1日ほど水に浸けたら、たっぷり水を入れた鍋で沸騰直前まで煮て冷まします。その後は、再度水から茹でて冷ますという工程を2回から3回繰り返したら下処理完了です。
水煮わらび
水煮わらびは、あく抜きしたわらびを水で煮た加工品です。生のわらびや一部の乾燥わらびのようにあく抜きをする必要がないので、すぐに調理ができますただし加熱処理している分、食感のやわらかい製品が多いようです。
塩蔵わらび
塩蔵わらびは、わらびを塩で漬け込んだ加工品です。塩漬けされた時点であく抜きが完了しているので、塩抜きを行なえばそのまま調理に使えます。まず水を入れた鍋でわらびを沸騰寸前まで煮たら、落し蓋をして冷ましましょう。冷めたら水を入れ替えて2時間から3時間ほど置いておきます。この状態で食べてみて、まだ塩が残っていればさらに水を替えて様子を見てください。
わらびの効果・効能
ビタミンB2は発育のビタミン
わらびに含まれるビタミンB2は皮膚や髪の発育を促す作用があるため、発育のビタミンと呼ばれます。とくに成長期の子どもにとっては重要な栄養素で、欠乏すると成長障害を引き起こすと言われています。また、肌荒れやニキビを抑制する働きから、美容のビタミンとしての一面も。大人にとっても大切な栄養素と言えるでしょう。
食物繊維の整腸作用
わらびには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は胃で消化・吸収されず、大腸まで到達する栄養素です。腸のぜん動運動を促したり、腸内細菌のエサになったりすることで、整腸作用が期待できます。また、脂質や糖などを吸着して体外へ排出する働きもあることから、肥満や糖尿病予防としても注目されている成分です。
ビタミンEやβ‐カロテンの抗酸化力
わらびには、強い抗酸化作用を持つビタミンEやβ‐カロテンが多く含まれています。抗酸化作用とは体内で発生する活性酸素の働きを抑えたり、活性酸素そのものを除去したりする働きのことです。活性酸素は過剰に発生すると脂質の酸化を促進し、動脈硬化を引き起こす過酸化脂質の原因となります。ほかにもガンや老化の原因となる物質なので、抗酸化物質の摂取は健康にとってとても大切です。
葉酸が神経管閉鎖障害を抑制
わらびに含まれる葉酸はDNAの合成に関わり、細胞増殖を促進する物質です。妊娠初期に葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害を招くので、妊婦は積極的に葉酸を摂取する必要があります。ただし、わらびには発がん性物質のプタキロサイドが含まれているので、あく抜きが欠かせません。水溶性のプタキロサイドは水に溶けやすく熱に弱い性質があるため、わらびを水に浸したり茹でたりすれば安心して食べることができます。ただし妊婦が食べれるからと言って、わらびの食べ過ぎには注意しましょう。基本的にあらゆる食品から栄養素をまんべんなく摂取することが理想です。
わらびの食べ方や注意点
わらびの選び方
新鮮なわらびを見分けるには、産毛の有無が重要です。産毛がたくさんついているものは鮮度が高いと言われています。茎は緑色ものを選びましょう。茶色く変色しているものは鮮度が落ちてしまっています。さらに切り口が茶色に変色していないかも、新鮮さを見極めるポイントです。茎が太く短いわらびもやわらかく、よりおいしく食べられるでしょう。また、新芽を採るわらびは穂先がU字型に曲がった状態で収穫されます。首が上を向いたものは育ちすぎているため、食感が硬く味が落ちている可能性があります。
わらびのあく抜き方法
わらびは毒性のあるプタキロサイドが含まれているため、十分なあく抜きが必要です。毒性物質を多く摂取すると中毒症状に見舞われ、最悪の場合は命に関わりますので注意しましょう。以下の手順に沿って、しっかりあく抜きを行なえば安全に食べることができます。まず鍋にたっぷりの水を沸騰させ、重層か木炭とともにわらびを入れます。その状態で一度加熱し、沸騰寸前で火を止めましょう。落し蓋をして、冷めたら一度水を取り替えます。その状態でひと晩置いたら完了です。または重曹を振りかけたわらびに熱湯を注ぐ方法もあります。その場合はお湯をかけた後に落し蓋をしてひと晩置き、黒っぽい水が出なくなるまで適宜水を取り替えます。つまんでみて、わらびがやわらかければあく抜きができている証拠です。
加熱しすぎないのがコツ
わらびは生食できないので必ず加熱する必要がありますが、熱しすぎないことがおいしく食べるコツです。加熱しすぎるとわらび特有の食感が失われてしまいます。あく抜きをする際は、沸騰させないように注意しましょう。
油を使った料理がおすすめ
わらびにはビタミンEやβ‐カロテンなど、脂溶性の栄養素が多く含まれています。これらの栄養素を効率よく摂取するには、油を使うのがおすすめです。脂溶性の栄養素は油に溶けやすく、油と一緒に摂取すると吸収効率が高まります。ビタミンEやβ‐カロテンを積極的に摂取したいときは、茹でるより油で炒めるほうがよさそうです。わらびの代表的な料理であるナムルはごま油で和える料理なので、栄養摂取に適した調理方法と言えるでしょう。
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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p45
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