うど        【独活】

薬草・野草

うど        【独活】


【効き目】
冷え症、関節痛、湿疹など

体を温めて、寒けを取り除く作用があり、冷え症の改善や足腰の痛みの緩和に良いでしょう。体の湿気を取り除く作用もあり、春先の湿気をおびた風にあたることで起こる関節痛(寒湿痺といいます)や皮膚の湿疹、のどの炎症の改善にも有効です。血圧の上昇を抑えるカリウムや新陳代謝を高めるアスパラギン酸を含みます。緑の葉の部分には、抗酸化作用があるクロロゲン酸が豊富。うど(Aralia cordata)は、ほろ苦い味わいと、しゃきっとした歯ごたえが特徴の山菜です。日本原産の野菜で、古くから薬用植物として親しまれてきました。山に自生しているうどは全国各地で採れ、2月から4月にかけて旬を迎えるため春の味覚として知られています。栽培物は関東や東北を中心に収穫され、もっとも収穫量が多いエリアは栃木県です。農林水産省の「平成30年産地域特産野菜生産状況」によると、全国収穫量の半数近くを栃木県が占めています。うどは大きいものでは2m近くまで成長しますが、育ち過ぎたものはやわらかくなり食用として使えません。このことから、身体ばかり大きくて役に立たない人のことを「うどの大木」と呼ぶようになりました。ことわざの通り木のような見た目ですが、ウコギ科タラノキ属の多年草に属する植物の仲間です。

うどの品種・種類
うどの品種は大きく分けて2種類あります。

軟白うど
軟白うどはスーパーでの流通が多い品種です。硬くなりすぎないよう光を当てずに栽培するので、全体が白っぽい見た目になります。旬時期のうどは春うどと呼ばれ、冬に出荷されるうどは寒うどと呼ばれます。山うどに比べると細く、皮がやわらかめです。苦味も強くないので、食べやすい品種と言えます。

山うど
野生のうど、または緑化させた軟白うどを山うどと言います。天然物は出荷時期が短いため、大変貴重です。皮は硬めで、緑がかった見た目をしています。サイズが大きいものが多く、軟白うどに比べるとアクと苦味が強めです。

うどの効果・効能

カリウムが塩分の摂り過ぎを防ぐ
カリウムはミネラルの一種で、そのほとんどが細胞内に存在する成分です。細胞内液の浸透圧を調節する働きがあり、ナトリウム(塩分)の排出を促してくれます。
ナトリウムを摂り過ぎると、高血圧症やがんの発生リスクが高まると言われています。普段の食事で塩分を摂り過ぎている人は、カリウムを積極的に摂取すると良いでしょう。

葉酸が胎児の成長を促進
うどにはビタミンのひとつである葉酸が含まれています。葉酸は細胞増殖に関わるDNAの合成を促す栄養素です。とくに妊娠初期は胎児の細胞増殖が盛んに行なわれるため、通常より多めの摂取が推奨されています。妊娠時期の摂取量が欠乏すると、胎児に神経管閉鎖障害が起こる場合があるので注意しましょう。水溶性ビタミンは熱に弱く水に溶けやすいため、加熱時間や水にさらす時間を短くすることで効率よく摂取できます。

アスパラギン酸で抵抗力アップ
アスパラギン酸はアミノ酸の一種です。エネルギーの代謝に関わる栄養素なので、摂取することで疲れにくい身体が目指せます。また、アンモニアをはじめとした有害物質の排出を促す作用もあります。アスパラギン酸は体内でも生成できる物質ですが、欠乏すると疲労が溜まりやすく抵抗力が弱まるので食品からも摂取したいところです。

クロロゲン酸の抗酸化作用
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、うどの苦味成分です。また、うどのアクを作り出す成分でもあります。クロロゲン酸は高い抗酸化作用を持ち、活性酸素が原因となるがんや老化などを抑制してくれます。山うどに多く含まれるので、旬時期に見かけたら購入してみましょう。

ジテルペンアルデヒドで血液循環を促進
ジテルペンアルデヒドには血流を促進させる作用があります。血液の循環が正しく行われることで、疲労回復の効果も見込める成分です。さらに自律神経に働きかけ、調節する役割もあります。ジテルペンアルデヒドは疲労が蓄積すると失われやすい成分なので、意識して摂取すると良いでしょう。

うどの食べ方や注意点

うどの栄養素を損なわない下処理方法・調理方法・食べ方などを解説します。

うどの選び方
うどは成長しすぎると特有の食感が失われてしまいますので、大きすぎないものを選びましょう。おおよそ30~40cm程度のうどがおすすめです。表面にツヤがあり、みずみずしいうどは新鮮な証拠です。また、表面に産毛が多く生えているうども鮮度が高いと考えられます。軟白うどの場合はなるべく太いもの、山うどの場合は太さが均一なものを選ぶと食感が良いと一般に言われます。赤い斑点が見られるものや黒ずんでいるものは、鮮度が落ちているので気を付けましょう。

葉・茎・皮まで食べられる
うどは葉・茎・茎の皮まで食用にできます。やわらかい葉は天ぷらで食すのがおすすめです。ほかにも和え物や味噌汁の具として活用されます。茎部分はしゃきっとした食感をもっとも感じることができる部位。茹でて酢味噌と和えた「うどのぬた」が代表的な料理です。茎の皮はごぼうのように使うことができるので、炒め物にして食べましょう。

うどの下処理
うどはアクが強い食品なので、下処理が必要です。皮部分にアク成分が多く含まれるので、剥いていきます。とくに山うどはアクが強いので、厚めに皮を剥きましょう。食べやすい大きさにカットしたら、変色を防ぐためにも酢水にさらします。水にさらしすぎると水っぽくなってしまううえに、クロロゲン酸が損なわれてしまいますので注意が必要です。10分を目安に浸けてください。

生でも食べられるうど
うどは生食できるので、サラダにもおすすめです。シャキシャキとした歯ごたえが感じられて、おいしく食べられます。生食するには茎の部分を薄くスライスしてから、変色しないように酢水にさらします。うどが少し硬め、またはアクが強い場合はさっと湯がいてから使いましょう。

加熱しすぎないのがコツ
うどは食感の良さを活かした調理方法がおすすめです。炒める場合も茹でる場合も加熱時間を短めにして、独特の歯触りを残しましょう。生食でも食べられる食品なので、火を入れすぎないのがコツです。加熱時間を短くすることで、うど特有の栄養素の損失も防げます。

うどの保存方法
うどの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

常温保存
うどは冷暗所での保存が基本です。日光を浴びると硬くなってしまうので、新聞紙などに包んで光を遮断しましょう。常温の場合は2日から3日ほど保存できます。

冷蔵保存
冷蔵保存なら1週間ほど日持ちします。そのままの大きさで入らない場合は、カットしてから切り口に酢水をつけましょう。切り口をラップで包んだら、乾燥しないように保存袋に入れて密閉してください。冷蔵庫の野菜室で保存すると5日から1週間程度保存できますが、日が経つにつれアクと苦味が強まるため2日から3日で食べ切るのがベストです。

冷凍保存
うどは冷凍なら約1ヶ月ほど保存できます。下処理したら、食べやすい大きさにカットして下茹でしましょう。小分けにしてラップに包んだら、保存袋に入れて冷凍室へ。加熱調理に使う場合は、解凍せずにそのまま使えます。サラダや和え物などに使う場合は冷蔵庫で解凍してから調理してください。

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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p 27
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https://naniwasupli.com/contents/aralia-cordata/

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