じゃがいも 【馬鈴薯】
【効き目】
胃腸の不調、吐き気、消化不良、便秘など
気を補い、元気を与えます。心身ともに疲れてるときに良いでしょう。消化が良く、胃腸に負担かけないので、高齢者や虚弱体質の人に向いてます。大腸に働きかけ、便通も促す効果も。炭水化物のほか、ビタミンC、ビタミンB1、食物繊維を含みます。効率よくエネルギーを補給するのに最適です。じゃがいもはナス科の野菜で、地下茎と呼ばれる部分を食べます。旬といわれる時期は、5月~6月頃と9月~12月頃の年2回です。じゃがいもはビタミンCやビタミンB2、ビタミンB6、食物繊維のほかに、過剰な塩分を排出するカリウムも豊富に含んでいます。じゃがいもはイモ類の中でも最も多くビタミンCを含み、さらに加熱調理でも減少しないのが特徴です。これはビタミンCがでんぷんにガードされているため、加熱時にビタミンCを包み込んで逃さないためです。特に皮ごと切らずに茹でるとビタミンCの損失を防ぐことができます。5月中旬から約1ヶ月間が一番の収穫時期です。植え付けのときに芽を上に向けて植えること、植え付け後1ヶ月くらいで芽かきをすることがポイントです。
じゃがいもの歴史
じゃがいもは南米アンデス地方が原産で、大航海時代にヨーロッパ、東南アジアに渡り16世紀に日本に広まったといわれています。保存性が高いという特徴から、当時は船乗りたちの食糧として重宝されていました。現在でも一年中安定した価格で市場に出回っています。
じゃがいもの種類
近年は個性的な品種が出回っていますが、粉質の男爵と粘質のメークイン、春先に出回る小ぶりな新じゃがが一般的です。
男爵
ほくほくした粉質でじゃがいもの代表格です。長時間煮るとくずれやすいため、通常は粉ふきいもやコロッケなどに使用されます。
メークイン
長い卵形で粘質じゃがいも特有のねっとりした食感が特徴です。表面にくぼみが少ないため皮がむきやすく、煮くずれしにくいことから、煮込み料理によく使用されます。
インカのめざめ
切り口が黄色で栗のように甘みが強く濃厚な味わいです。ほくほくしていると同時になめらかな口当たりが特徴です。
レッドアンデス
さつまいものように皮は赤く、切り口は黄色でねっとりした食感と濃厚な甘みが特徴です。
シンシア
卵型で切り口は薄い黄色をしています。粘質ならではのなめらかな口当たりが特徴で煮物にしてもにくずれにくいことが特徴です。
じゃがいもの選び方と保存方法
じゃがいもは皮がなめらかで傷がなく、ふっくらとして重量感のあるものを選ぶと良いでしょう。表面にしわが寄っていたり、芽が出ているものや緑色に変色しているものは避けるべきです。低温に弱く、4度以下になるとでんぷん質が変質するため冷蔵庫には入れず新聞紙に包んだり、紙袋などに入れて日の当たらない風通しの良い場所で保存することがおすすめです。まるごと茹でたじゃがいもは、冷ましてポリ袋に入れ、冷蔵保存すれば4~5日はもちます。
じゃがいもの芽
じゃがいもの芽には、有害物質が含まれています。芽や緑色になった皮の部分には、ソラニンといわれる有害物質が含まれ、この物質を多量に摂取した場合、めまいや吐き気、下痢などの中毒症状がまれに起こることがあります。そのため、芽や皮が緑色になっている部分は、完全に取り除いてから調理しましょう。また発芽すると、じゃがいもの栄養が芽に集まってしまいます。栄養とおいしさ、安全のためにも芽が出ていないものを選ぶべきです。またじゃがいもは日光に当たると芽が出やすく、皮も緑色になりやすいため、日蔭に保存することが大切です。
じゃがいもの育て方
じゃがいもは初心者に育てやすい野菜です。秋作もできますが、春作が作りやすいでしょう。タネいもは市販のタネいもを使用し、腐敗防止のため切り口には草木灰や石灰をつけておきましょう。
①タネいもの植え付け
3年~4年はナス科の野菜をつくっていない、日当たりの良い場所に肥料を入れてよく耕します。市販のタネいもを縦に2つか4つに切り分け、切り口に灰をまぶします。畝の中央に溝を掘り、芽が上に向くように並べて肥料を入れて埋め戻します。
②芽かき
ひとつのタネいもからたくさんの芽が出るので、発育の良い芽を2本残し、残りを根元から引き抜きます。不用意に抜くとタネいもごと全て出てきてしまうので、残す芽の株元をしっかり押さえてていねいに作業します。
③追肥と土寄せ
芽かき後は、追肥と土寄せが大切な作業になります。咲き始めるころに、土中でいもができはじめるのでたくさん肥料を与えます。また株元にいもができてくるので、土を寄せていもが土から露出しないようにします。
④収穫
5月中旬が収穫時期です。畝の肩からさぐっていき、株元を少し掘ってみて、じゃがいもが大きくなっているか確認しましょう。育っていたら株ごと引き抜いて収穫します。葉が枯れるまで土中に置いたじゃがいもは、長期保存できます。
じゃがいもの栄養素に含まれる成分と性質
主な栄養素はでんぷん質ですが、ビタミンB1、ビタミンC、カリウムなども豊富に含まれています。イモ類の中では低エネルギーでじゃがいものビタミンCはでんぷんに包まれているため、加熱しても壊れにくいことが特徴です。
じゃがいもはエネルギーを生み出す炭水化物を含む他、カリウムやビタミンCなどの成分が豊富に含まれ、効果を発揮します。
じゃがいもの効果
高血圧を予防する効果
じゃがいもに含まれるカリウムは、血圧の上昇を抑え、生活習慣病に役立ちます。筋肉の働きをコントロールするほか、体外に塩分を出す働きをし、高血圧を防いで疲労回復にも役立ちます。日本人の場合は、食塩としてナトリウムを摂り過ぎる傾向があるため、カリウムの摂取が重視されています。
胃の健康を保つ効果
じゃがいもに含まれるビタミンB1、ナイアシン、ビタミンC、カリウムといった成分が胃潰瘍、十二指腸潰瘍を防ぎ、胃の健康を守ります。
腸内環境を整える効果
じゃがいもに含まれる食物繊維が腸内環境を整え、体内の不要なものを外にだします。食物繊維は「第六の栄養素」として呼ばれ、人間の体内では消化・吸収できない栄養素として働きます。腸内細菌のエサとなり、老廃物が体内に長くとどまることを防ぎ腸内環境を整えます。
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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p60
わかさの秘密
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