ブラックコホシュ     (キンポウゲ科)

ハーブ

ブラックコホシュ     (キンポウゲ科)  和名      アメリカショウマ


【効き目】
ホルモン分泌の調整、鎮静、更年期障害、生理痛、生理前症候群など

年齢とともに減少していく女性ホルモンのエストロゲンに似た作用を発揮するイソフラボンが含まれます。効果として更年期障害の落ち込みや不安感、発汗異常という代表的な症状以外にも腰痛や肩こりが緩和されたという報告もあります。ホルモン剤補充療法を始める前に試してみたいハーブです。同様に、エストロゲンの減少で起こる生理痛や生理前症候群にも効果があります。ブラックコホシュは、約150 cmくらいの高さに育つ、サラシナショウマ属キンポウゲ科の植物です。サラシナショウマ属は、耐寒性の多年草の15種が北半球の温帯地域にみられます。その中でもブラックコホシュの主な産地は北アメリカで、肥沃な広々とした林地にみられます。根茎は木質になり、大きな卵形の葉の縁はギザギザで、3つの小葉に分かれています。盛夏には、細く、香りのよい白い花が瓶洗いのブラシのような形に咲きます。ブラックコホシュの栽培には半日陰の湿り気があり、腐植土の豊富な土地が好まれます。また繁殖は秋で、種子が熟したら温室等屋内に種を蒔くのが良いとされています。ブラックコホシュの学名「cimicifuga」は「cimex:虫」と「fugere:逃げる」という意味に由来します。ブラックコホシュは強いにおいが虫避けになることからこの学名がつきました。またブラックコホシュという名は、根茎が黒っぽいことからついたといわれています。

ブラックコホシュの歴史
ブラックコホシュは、もともとアメリカインディアンの間で痛みやリウマチ炎症、女性の生理に関係する症状に使われていたハーブで、女の根とも呼ばれていました。またペノブスコット属の人々には腎臓の不調にも用いられていました。今でも神経痛、関節痛、リウマチ、耳鳴りなどにも利用されています。また鎮痙作用を利用して、せきや気管支炎などの呼吸器のトラブルにも利用されており、ドイツでは医薬品としてブラックコホシュが販売されています。

ブラックコホシュの利用
ブラックコホシュは、秋に実がなったあとで収穫した根と根茎を、乾燥させて利用します。ハーブティーとして飲用するときには、小さじ1/2程度のブラックコホシュのハーブに対して、カップ1杯の水に10~15分ほど煎じたあと、こしてから飲みます。またブラックコホシュのチンキを使用する場合は、2~4 mℓ程度をカップ1杯の水に加えて飲みます。しかしハーブティーにすると苦味を感じる場合もあるため、最近ではカプセルに入ったサプリメントとして販売されています。

ブラックコホシュの成分と効果
ブラックコホシュの主な成分は、トリテルペン配糖体、イソフラボン、タンニンです。またブラックコホシュは、助産婦は一般に、出産時に分娩を誘導するために使用します。こうした行為は、母子に有害な影響を及ぼすことはないと考えられていますが、妊婦へのブラックコホシュの使用は健康管理の専門家による監督のもとで行わなければなりません。また授乳中の方の使用は避けた方がよいです。ブラックコホシュは、まれに副作用として消化器系の不調をもたらすことが知られています。

ブラックコホシュの効果

月経前症候群 (PMS)の症状を緩和する効果
ブラックコホシュには、月経前症候群 (PMS)の症状を緩和する効果があります。月経前症候群 (PMS)とは、月経の始まる3~10日前から、腰痛や腹痛、顔や足のむくみ、乳房痛、イライラなどの不快症状が起こることです。女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、エストロゲンは子宮内膜を増殖させるほか、骨密度を保つ、コレステロールを抑える、コラーゲンを増やすなど、体全体にかかわる働きがあります。またプロゲステロンは受精卵の着床を促し、妊娠の持続をサポートするホルモンです。いずれも卵巣から分泌され、互いに影響しながらバランスを保っています。月経前症候群の症状は、プロゲステロンの分泌の変化により、ホルモンのバランスが崩れることによって生じるといわれています。ブラックコホシュは女性のために使われるハーブで、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用を持ちます。そのため月経前症候群 (PMS)の症状を緩和する効果があります。またブラックコホシュには、けいれん性の痛みである生理痛の緩和にも効果があります。さらに生理周期とともにニキビや吹き出物が出るような皮膚のトラブルにも効果的です。

更年期障害の症状を改善する効果
更年期障害とは、卵巣機能が衰え、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が減少し、これが原因となって起こる自律神経の働きが乱れ、頭痛、腰痛、肩こり、ほてり、イライラ、うつ状態などのさまざまな症状のことをいいます。ブラックコホシュは、1995年に出された研究結果ではセントジョーンズワートと組み合わせた場合ほてりや他の更年期障害の治療に78%もの効果があったと記されています。ブラックコホシュはエストロゲン作用を持ち、体内のエストロゲンが低下する際に生じる症状を緩和することが示されています。そのためブラックコホシュは更年期障害の緩和に効果があります。更年期障害の症状に著しい改善が認められるようになるまでには、通常4週間のブラックコホシュの飲用が必要であるとされています。

骨粗しょう症を予防する効果
骨粗しょう症は骨の代謝バランスが崩れ、もろくなった状態のことです。骨は、骨芽細胞によって骨形成されると同時に破骨細胞によって骨吸収され、常に新しく作り直されるという新陳代謝(リモデリング)を繰り返しています。通常は骨吸収と新たな骨形成のバランスが保たれていますが、これが崩れて骨吸収が上回った状態が続くと、骨量が減少してしまいます。その結果骨がもろくなり、容易に骨折するような状態になるのです。一般に、高齢女性の発症リスクが高くなっていますが、それは、閉経後、骨芽細胞を活発にする女性ホルモンであるエストロゲンが激減するためです。ブラックコホシュは、エストロゲンと似た作用を持つため、骨粗しょう症の予防にも効果があります。

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海外におけるブラックコホシュの利用に関する注意喚起について

ブラックコホシュ[英名:black cohosh, black snakeroot、学名:Cimicifuga racemosa(L.)、(キンポウゲ科の植物)]を含む製品は、欧州では更年期障害の症状緩和の目的などで医薬品として販売されており、我が国や米国では食品として販売されています。諸外国において、ブラックコホシュを摂取した場合の主要な健康被害として、肝障害が報告されており、欧州医薬品庁(EMEA)のハーブ医薬品に関する委員会(HMPC)では、入手可能なデータの評価により、これらの肝障害はブラックコホシュの利用と関連している可能性があるとみなし、肝障害の徴候があらわれた場合のブラックコホシュの使用の中止、医師への相談、医師から患者への使用確認、症例の報告を促す勧告を出しています。これを受け英国医薬品庁(MHRA)、フランス食品衛生安全庁(AFSAA)、フィンランド食品安全局でも、注意喚起を行っています。また、カナダ保健省(Health Canada)も同様の注意喚起を行っています。日本国内でブラックコホシュ又はこれを含む食品を摂取したことによる健康被害事例はこれまで報告されていませんが、ブラックコホシュの摂取については念のためご注意下さい。

本件に関する詳しい情報は、国立健康・栄養研究所のホームページ(下記)をご覧下さい。
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail281.html

※参考文献一覧
すすきちえこ、はじめてのハーブ手帖、メディアパル、
2020、p113
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/black-cohosh/

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