あさつき      【浅葱】

薬草・野草

あさつき      【浅葱】


【効き目】
のぼせ、イライラ、食欲不振、体力減退、疲労など

高ぶった神経を鎮め、イライラを解消する作用があり消化吸収を促進し、食欲増進や疲労回復に役立ちます。粘膜を強化する作用もあり、かぜ予防や美容によいとされます。刺激成分の硫化アリルが多く含まれ、消化液の分泌を促すとともに、血行を改善して疲労物質(乳酸)を分解します。また、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンB6など、ビタミンも豊富で、代謝吸収を高め、体に活力を与えます。あさつき(chives)は、ヒガンバナ科ネギ属に分類されますが、ねぎとは異なる独立した植物です。漢字では「浅葱」と書きます。葉の色が濃くなる前の、浅い色づきの状態で使用することから、その名がついたと言われています。原産地は中国という説が濃厚ですが、日本では北海道・本州・四国などの山々に古くから自生していました。特に東北地方では栽培も盛んで、山形県の伝統野菜として扱われています。旬は冬から早春にかけて。旬時期以外にスーパーなどの店頭で見られるものは、葉ねぎを若芽のうちに採った青ねぎタイプのあさつきです。わけぎと間違えられることも多いですが、あさつきは根っこの「鱗茎(りんけい)」まで食べられるのが大きな違いと言えます。また辛味が強いのも特徴で、多くは薬味として使用されます。名産地の山形県では、若芽の甘味とシャキシャキとした歯ごたえを活かし、酢味噌に和えて食べるのが主流です。

あさつきの品種・種類
あさつきの品種は、新芽タイプと青ねぎタイプの大きく2つに分けられます

新芽タイプ
山形県をはじめとした東北地方でよく採れるのが、新芽タイプのあさつきです。青ねぎタイプに比べて太く、辛味の中に甘さが感じられるのが特徴。旬時期の1月から3月にかけて店頭に並びます。食べ方は、茹でて味噌と和えるほか、炒め物などにして楽しむのがおすすめです。天ぷらにしてもおいしく食べられます。


青ねぎタイプ
青ねぎタイプのあさつきは、葉ねぎを若取りした品種です。スーパーなどの店頭では通年見られ、特に広島県で多く栽培されています。
ねぎの仲間の中でもっとも細く、強い辛味が特徴です。新芽タイプより色が鮮やかなので、薬味として活用するのに適しています。万能ねぎの代用品としても扱われます。

あさつきの効果・効能


カリウムで高血圧症予防
あさつきには、ミネラルのカリウムが多く含まれています。カリウムはナトリウムの排出作用を持つことから、塩分の摂り過ぎ防止に役立つ栄養素です。
日本では高血圧症の原因は、塩分の過剰摂取と言われています。高血圧症は生活習慣病のリスク要因のため、カリウムの意識的な摂取はとても重要でしょう。

硫化アリルで血行促進
あさつきは、ねぎと同じく強い香りを持っていますが、この元となる成分が硫化アリルです。硫化アリルは、血液の凝固を抑制し、血液をサラサラにする作用があります。血行が促進されるので、血圧を下げる作用も期待できるでしょう。さらにビタミンB1の吸収を促進する作用から、疲労回復効果が見込めます。
硫化アリルは水溶性なので、水にさらしすぎると成分が流れ出てしまいます。下ごしらえをする際は、水に長く浸けすぎないよう気を付けましょう。

ビタミンKが骨の形成をサポート
あさつきに含まれるビタミンKは脂溶性のビタミンで、骨の形成を助ける作用があります。ビタミンKが吸収されると、骨に存在するオステオカルシンと呼ばれるタンパク質が活性化されます。オステオカルシンは、骨の細胞が結合しやすいようサポートしたり、骨の硬さを強化したりする物質です。
さらに最近の研究で、オステオカルシンは記憶力や筋力アップに役立つ「若返り物質」としての効果があることもわかっています。若々しい身体づくりのためにも、ビタミンKは重要と言えるでしょう。

β‐カロテンの抗酸化作用
あさつきには、抗酸化物質であるβ‐カロテンが多く含まれています。抗酸化物質は、体内で発生する活性酸素の働きを抑えたり、活性酸素そのものを除去したりする作用を持つ物質です。適正な分泌量であれば有用な働きをする活性酸素も、過剰に分泌されると細胞を破壊してしまいます。がんや動脈硬化などの疾患、老化を防ぐためにも抗酸化物質を積極的に摂取しましょう。

葉酸が胎児の健康を守る
あさつきは、ビタミンB群の一種である葉酸を多く含んでいます。葉酸はDNA合成に関わっており、細胞増殖には欠かせない栄養素です。
とくに妊娠時期の摂取は重要視されていて、適正量を摂取することで胎児の成長をサポートしてくれます。逆に摂取量が足りないと、胎児の神経管閉鎖障害リスクが高まってしまいますので注意しましょう。

あさつきの食べ方や注意点

あさつきの選び方
新芽タイプと青ねぎタイプの選び方をそれぞれ説明します。

新芽タイプの選び方
鮮度の良さを見分けるには、切り口を見ましょう。断面が平らなあさつきは新鮮な証拠です。時間が経つと、切り口の中心部が伸びてきます。また、根元の鱗茎にツヤ感があるあさつきも鮮度が良いと言えるでしょう。

青ねぎタイプの選び方
青ねぎタイプのあさつきは、なるべく青々と鮮やかなものを選びましょう。鮮度が落ちると、黄色く変色してきます。葉にハリやみずみずしさが感じられるかどうかもポイントのひとつ。また、新芽タイプと同じく鱗茎にツヤがあるものを選ぶことも大切です。

加熱しすぎないのがコツ
あさつきを調理する場合は、火を通し過ぎないようにしましょう。加熱しすぎると、あさつき特有の食感と香りが損なわれてしまうためです。例えば、新芽タイプのあさつきをお浸しや浅漬けにする場合、茹で時間の目安は20秒から30秒ほど。冷水に落とし、水分を切ってから調味料に漬けるとほど良い食感と香りを楽しめます。

魚介の臭み消しに
トッピングとして使用する場合は、魚介類と合わせる方法がおすすめです。あさつきは魚介の臭みをやわらげる作用があります。海鮮丼やカルパッチョのトッピングに使えば、見た目も鮮やかになるでしょう。

体調が悪いときは食べ過ぎない
あさつきに含まれる硫化アリルは刺激の強い成分なので、生の状態で過剰摂取すると、胃腸の調子を崩す場合があります。あさつきは薬味で使うケースが多いので食べ過ぎる可能性は低いと言えますが、体調が悪いときは気を付けましょう。
硫化アリルは加熱すると分解されるので、どうしても食べたい場合は火を通すのもひとつの手です。

自宅でも栽培できるあさつき
あさつきはプランターで簡単に育てられる植物なので、家庭菜園として人気です。植え始めるのに適した時期は8月から10月頃。あさつきは非常に再生力の強い植物なので、春と夏の2回収穫が楽しめます。虫もつきにくいので、ガーデニング初心者でもチャレンジしやすい植物です。

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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p 25
なにわサプリ
https://naniwasupli.com/contents/chives/

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