いちじく 【無花果】

果実

いちじく   【無花果】


【効き目】
せき、声がれ、便秘、痔、乾燥肌、ドライアイ、食欲不振、口の渇き、下痢など

乾燥した体をうるおし、ドライアイや口の渇きを緩和します。特にのどや肺へ作用し、のどの炎症、しゃがれ声、からせきに効果的です。解毒作用も高く、痔やおできなどに良いでしょう。食欲不振、下痢、便秘など、夏に起こりがちな胃腸炎にも良いです。水溶性食物繊維のペクチンや不溶性食物繊維が含まれ、便秘を改善します。エネルギー源となる果糖やブドウ糖も多く含まれます。いちじくはクワ科イチジク属の落葉性の樹木です。木の高さは2~4mあり、葉は互生していて大きな掌状(しょうじょう)です。熟したいちじくの果肉は10~15mmの涙のしずくのような形で濃い赤紫色ですが、品種によっては白に近い色のものもあります。いちじくは、甘酸っぱく、独特の風味が特徴的です。いちじくを半分に切ると現れるつぶつぶとした赤いものがいちじくの花です。いちじくの特徴的なプチプチとした食感の正体は、この花なのです。また、いちじくを傷つけると白い液体が出てきます。この液体は、いちじくが傷ついたときに侵入してくる細菌などの外敵から実(身)を守るためのものです。

いちじくの名前の由来
「いちじく」という名前の由来はいくつかあります。まず、中国の名前である「映日果(エイジツカ)」がなまって「いちじく」と呼ばれるようになったという説があります。2つ目に、熟すペースが1日に1つ、または1ヵ月に1つということから「一熟」となり、「いちじく」と呼ぶようになったという説もあります。また、外観からは花が見えずそのまま実がなることより、漢字で「無花果」とも記されています。

いちじくの歴史
いちじくは、アラビア半島で誕生し、6000年以上前から栽培が始まったといわれています。そしてヨーロッパからペルシャ、中国へと広がっていきました。いちじくの樹木は強い生命力を持つため、ミイラを入れるための棺の材料に利用されていました。日本には、江戸時代に中国から長崎へと伝えられ、当初は薬用として栽培されていました。しかし、生産量が増えるにつれて食用としても親しまれるようになりました。昔の日本の庭先にはどの家庭でもいちじくの木を1~2本は育てており、季節を楽しめる果物として、とても身近な存在でした。

いちじくの原産地、生産地
アラビア半島南部や地中海沿岸地方が原産地です。海外ではカリフォルニア州(アメリカ)や地中海沿岸の国で多く生産されています。日本では、主に愛知県や和歌山県、福岡県、兵庫県で生産されています。生産量1位の愛知県では、日本全体の生産量の18%を占め、生産量が多い上位4県で全国生産量の半分を生産しています。(平成21年)日本でいちじくを栽培できる北限は、福島県、宮城県、新潟県の辺りまでといわれています。

いちじくの品種
いちじくは、果実の収穫時期によって大きく3つの系統に分けることができます。初夏から夏にかけて収穫できる「夏果専用品種」、秋に収穫できる「秋果専用品種」、そして夏にも秋にも収穫ができる「夏秋兼用品種」です。世界ではいちじくの品種が100品種以上あるとされていますが、日本でよく見かけるいちじくの大半が、「桝井(ますい)ドーフィン」という品種です。

桝井ドーフィン
明治42年にアメリカから桝井氏が日本に持ち帰ったことがきっかけで全国へと広まりました。栽培しやすく、日持ちが良いことが特徴です。夏秋兼用品種です。

蓬莱柿(ほうらいし)
日本で親しまれて370年と長い歴史を持つため「在来種」や「日本いちじく」とも呼ばれています。主に関西以西で栽培され、上品な味わいが特徴です。しかし、日持ちが悪いため、関西地方以外には出回ることが少ない品種のいちじくです。秋果専用品種です。

とよみつひめ
2006年に品種登録をした、福岡県で誕生した新しい品種のいちじくです。糖度が16~17度と高く、強い甘みが特徴です。夏秋兼用品種です。

ビオレ・ソリエス
フランス原産で、佐渡島や一部の地域でしか栽培されていない品種です。果肉がやわらかく、糖度が20度以上もある非常に甘いいちじくです。秋果専用品種です。

スミルナ
トルコが主な生産地で、皮が白く、乾燥させると甘みが凝縮されます。そのため、ドライいちじくとして販売され親しまれています。

いちじくと生活とのつながり
いちじくは、生で食べるほか、ジャムやコンポート、乾燥させてドライいちじくなどにして食べられることが多くあります。また、食用以外でも利用されており、いちじくを切断すると出てくる白い液はイボ取りなどの薬として利用されています。

美味しいいちじくを選ぶポイント・保存方法
いちじくを選ぶ時のポイントは2つあります。
皮にハリがあり傷がないもの
ふっくらとして形が良いもの
この2つのポイントが美味しいいちじくを選ぶコツです。さらに、白い液がヘタの切り口部分についていたら、なお新鮮な証拠です。完熟した実は1~2日で鮮度が落ちてしまいます。保存したい場合はジャムやコンポート、 果実酒にして保存することが適しています。また、ゼリーやムースにする際には注意が必要です。いちじくには酵素が含まれているため、生のままではゼラチンとの相性が悪く、固まりません。一度いちじくを加熱してから使用することが大切です。

いちじくに含まれる成分と性質
いちじくの果実には、食物繊維の一種であるペクチンをはじめ、エネルギーをつくり出すことに欠かせないビタミンであるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6や、抗酸化力の強いビタミンC、私たち人間の体を構成するために必要不可欠なミネラルであるカリウム、カルシウム、鉄などといった優れた栄養素がバランス良く含まれています。また、いちじくには「フィシン」というたんぱく質分解酵素も含まれます。『いちじくを使用していると指紋が消える』といわれるほど、フィシンのたんぱく質を分解する力は強力です。いちじくを肉料理によく使用するのは、フィシンが肉のたんぱく質を溶かし、やわらかくするためです。フィシンの他に、消化酵素であるリパーゼやアミラーゼも含んでいます。その他に、いちじくにはポリフェノールの一種であるアントシアニンも含まれています。いちじくの果肉の赤紫色は、このアントシアニンによるものです。

いちじくの効果


胃の健康を保つ効果

いちじくには、たんぱく質分解酵素であるフィシンが含まれます。フィシンは、たんぱく質を分解して消化させやすくさせる働きがあります。そのため、胃の負担が減り、胃もたれの予防や改善、二日酔いを予防することに効果的です。また、胃の炎症を予防し、胃炎が原因でできる吹き出物をできにくくする効果もあります。
さらに、いちじくはアミラーゼやリパーゼなどの消化酵素も含むため、たんぱく質だけではなく脂質や糖質の消化にも働きかけます。

視機能を改善する効果
いちじくには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。
アントシアニンには、強い抗酸化力があり、老化や病気、肌トラブルの原因となる活性酸素を除去する効果があります。アントシアニンは、目の網膜に働きかけ、目の疲れをやわらげたりするといった作用があります。

コレステロール値を下げる効果
いちじくには食物繊維の一種であるペクチンが豊富に含まれています。
ペクチンは、胆汁酸の吸収を抑える効果があるため、悪玉(LDL)コレステロール値を低下させる作用があります。

糖尿病を予防する効果
いちじくに豊富に含まれるペクチンは、急激な血糖値の上昇を抑える働きがあります。血糖をコントロールするので、糖尿病の予防に効果的です。

便秘を解消する効果
いちじくに多く含まれるペクチンは、腸内の善玉菌である乳酸菌などを増やし、腸の調子を整える働きがあります。また、いちじくが持つ強い粘性で腸内の有害物質を吸着して体外に排泄する作用もあるため、便秘の解消に効果があります。

高血圧を予防する効果
特に乾燥いちじくには、カリウムが豊富に含まれます。カリウムには、体内のナトリウムの排泄を促し、血圧の上昇を抑える働きがあります。そのため、高血圧の予防に効果的です。

むくみを予防・改善する効果
乾燥いちじくに豊富に含まれるカリウムには、体内の余分な水分を排出する働きがあります。そのため、細胞と細胞の間に溜まる水分が原因で起こるむくみの予防や改善に効果を発揮します。

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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p85
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/fig/

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