モロヘイヤ  (アオイ科)

野菜・その他

モロヘイヤ  (アオイ科)

【効き目】
骨粗しょう症、イライラ、便秘、消化不良、高脂血症など

モロヘイヤはエジプトやアラビア半島で古くから常食されているシナノキ科に属する緑黄色野菜の一種です。別名ツナソとも呼ばれています。エジプトでは5000年以上前から一般に普及していたといわれています。高温、乾燥地帯でも育つことができる強い生命力とその高い栄養価から、近年注目を集めている野菜です。虫にも暑さにも強いため、家庭菜園でも人気があります。骨や歯の健康を維持。骨粗しょう症を防ぎます。ねばり成分ムチンはコレステロール値の低下、胃粘膜の保護、便秘完全に有効です。すりおろした山芋と麦ごはんにのせて、消化を助け、夏バテ予防に最適です。

〜豆知識〜エジプト王を救ったモロヘイヤ
エジプトで古くから食べられているモロヘイヤは、アラビア語で「王様の野菜」という意味の「ムルキーヤ」が語源であるといわれています。かつて、どんな薬も効かない程の重病を患ったエジプト王が、モロヘイヤの葉を刻んでつくったスープを飲んだところ病気が治ったという言い伝えから「王様の野菜」と呼ばれるようになりました。モロヘイヤスープはエジプトの伝統的な家庭料理として現在でもよく食べられています。各家庭にはマハラタと呼ばれるモロヘイヤ専門の包丁があるそうです。

モロヘイヤの歴史
中近東地域が原産のモロヘイヤは、クレオパトラにも愛された野菜といわれる程、古くから食用として知られていました。日本には1980年代に導入され、栄養価の高さに注目が集まり広く知れ渡るようになりました。

モロヘイヤの生産地
日本では群馬県での生産量が最も多く、次いで三重県、沖縄県、佐賀県と続きます。モロヘイヤの旬は6月~8月ですが、ハウス栽培では4月~10月が最盛期です。

おいしいモロヘイヤの選び方
モロヘイヤの葉が1枚1枚しっかりとついていて、先端までつやがあり緑色が鮮やかなもの、茎が折れそうなぐらい張っているものを選びます。クセがないため、茹でておひたしや和え物などの和風の料理や炒め物、天ぷらなどに幅広く利用されます。保存する場合は、葉を摘み水気を切ってポリ袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室へ入れます。サッと茹でてラップに包んで冷凍することも可能です。

モロヘイヤに含まれる成分
モロヘイヤには、β-カロテンをはじめビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄などのビタミン類・ミネラル類が豊富に含まれています。β-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、摂りすぎる心配がなく安心です。特にカルシウムは野菜の中で100g中260mgと、パセリの290mgに次ぐ含有量を誇ります。他には、若返りのビタミンといわれているビタミンEやビタミンK、粘りの成分であるペクチンやマンナンが豊富に含まれており、モロヘイヤは栄養の宝庫ともいわれています。ペクチンはりんごや柑橘類に含まれる食物繊維の一種です。水溶性と不溶性のものがあり、コレステロール値、血糖値の低下や便秘・下痢の解消効果があります。モロヘイヤには、多量のシュウ酸が含まれます。シュウ酸は体内でカルシウムなどと結合して、カルシウムの吸収率を低下させます。そのため、過剰摂取には注意が必要です。様々な野菜とともに、バランス良く食べることが大切です。
また、モロヘイヤの種子や枝には、毒性の強いストロファンチジン様物質と呼ばれる成分が含まれています。食べると危険なので、家庭菜園などを行う際は注意が必要です。

モロヘイヤの効果

動脈硬化を予防する効果
日常生活で体内に発生する活性酸素は、血中の脂質を酸化させ動脈硬化の原因となります。モロヘイヤに含まれるβ-カロテンやビタミンEには体内の活性酸素を除去する働きがあり、血中の脂質の酸化を防ぎ血管を若々しく保ってくれるため、動脈硬化の予防や改善に効果を発揮するといわれています。また、モロヘイヤにはポリフェノールの一種であるケルセチンが豊富に含まれています。ケルセチンは強い抗酸化作用を持つため、ビタミンCやビタミンEと共に動脈硬化の予防や改善に働きかけます。さらに、モロヘイヤ特有の粘り成分であるペクチンには、余分なコレステロールの吸収を抑え、血中のコレステロール値の上昇を抑える効果があります。
これらの成分を豊富に含むモロヘイヤには、動脈硬化を予防する効果があると考えられています。

高血圧を予防する効果
食塩の過剰な摂取などによりナトリウムが血中に多く存在すると、体内で水分の移動が正常に行われなくなり高血圧を招いてしまいます。
モロヘイヤに含まれるカリウムには、余分なナトリウムを体外に排出する働きがあるため、血圧を下げ高血圧を予防してくれる効果が期待されています。

糖尿病を予防する効果
モロヘイヤの粘り成分であるペクチンには、糖の吸収を緩やかにすることにより、血糖値の上昇を抑制する働きがあります。そのため、糖尿病の予防に効果があるといわれています。

骨粗しょう症を予防する効果
カルシウムは骨格や歯の発達に欠かせない成分です。食物から摂取するカルシウムが不足すると、血中カルシウム濃度を一定に保とうと骨に含まれているカルシウムが血液中に溶け出します。この状態が続くと、骨がスカスカでもろくなる骨粗しょう症が引き起こされます。また、骨粗しょう症の予防にはビタミンKの摂取も重要であるといわれています。ビタミンKには、摂取したカルシウムを骨に沈着させる働きがあります。モロヘイヤにはカルシウムやビタミンKが豊富に含まれているため、日常的に摂取することにより骨粗しょう症を予防する働きがあると考えられます。

貧血を予防する効果
モロヘイヤには、ヘモグロビンの材料となる鉄に加え、鉄の吸収を高めるビタミンCも豊富に含まれているため、貧血の予防に効果的に働きかけるといわれています。血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が減少すると貧血になります。ヘモグロビンは、呼吸をした際に肺に取り込まれた酸素を全身の組織に供給する役割を果たしているため、その量が減ると細胞に供給される酸素が不足します。このため、顔が青白くなる、少し動いただけでも息切れがする、動悸が起こる、疲れやすくなる、立ちくらみがするなどの症状が起こります。

胃の健康を保つ効果
モロヘイヤの粘り成分であるペクチンは、胃液や唾液にも含まれており粘膜の損傷を防いでいます。そのため、胃壁を保護する働きを持っているペクチンを摂ることにより、胃炎や胃潰瘍を予防する効果が期待できます。

便秘を改善する効果
モロヘイヤにはペクチンやマンナンなどの食物繊維が豊富に含まれているため、便秘の改善に効果的です。モロヘイヤはクセがない野菜なので、ジュースにしても美味しく飲むことができます。例えば、モロヘイヤをヨーグルトやはちみつと一緒にミキサーにかけてジュースにすると乳酸菌も一緒に摂取できるため、便秘解消の相乗効果が期待できます。

美肌効果
モロヘイヤにはβ-カロテンが豊富に含まれます。β-カロテンから変換されたビタミンAには皮膚や粘膜を丈夫に保ってくれる働きがあるため、肌のカサつきや肌荒れの改善に効果があります。
また、β-カロテンは紫外線によって発生した活性酸素を除去する働きがあり、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の発生を抑制する効果があります。
他にも、モロヘイヤには若返りのビタミンといわれているビタミンEが含まれています。さらに、豊富に含まれるビタミンCがコラーゲンの生成を促進し肌のハリが保たれることにより、シワの予防や改善にも役立ちます。様々な栄養素の相乗効果により、モロヘイヤには美肌を導く効果があるといわれています。

免疫力を高める効果
β-カロテンから変換されたビタミンAは皮膚やのどなどの粘膜を正常に保つ働きがあり、免疫力を高めるため、口内炎や風邪の予防に効果的です。また、モロヘイヤに含まれるペクチンには粘膜を保護する働き、ビタミンCやビタミンEには風邪などのウイルスの抵抗力を高める働きがあるため、モロヘイヤは口内炎や風邪の予防に効果的であるといわれています。

視機能を改善する効果
β-カロテンから変換されたビタミンAは、目が網膜で光を感じる時に必要なたんぱく質であるロドプシンの生成に必要とされる成分で、夜盲症や眼精疲労の予防に効果が期待されています。

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※参考文献一覧
薬膳と漢方の食材小事典
2019、日本文芸社 p107
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/mulukhiya/

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